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教団の歴史

教団の歴史

門主と門首

2023-04-19
『中外日報』〈コラム〉風鐸2023年4月19日 10時40分
浄土真宗本願寺派が1月に大谷光淳門主名で制定した新しい「領解文」に対し、宗内から多数の疑問の声が上がっている
◆3月26日にはついに教学を司る勧学・司教の有志が「速やかに取り下げるべきだ」との声明を発表した。筆者は真宗他派の複数の学僧からも疑問視する意見を聞いたことがある。異常事態と言わざるを得ない
◆現状、それらの意見は新しい「領解文」の内容への批判にとどまっている。ただ、教団の根幹である門主制度への疑問を示唆する声もないわけではなく、そのような認識まで広がれば事態はより深刻になることは言うまでもない。宗務当局はそのリスクを過小評価せずに対応する必要があると思われる
◆ところで、新しい「領解文」は門主の消息として発布されたが、真宗大谷派ではそうしたことは起こり得ない。1981年の宗憲改正で「本派の師主」たる法主を“聞法の首位”を任じる門首と再定義し、教化の指針となる消息の発布はなくなったからだ。宗憲の改正で「正依の聖教」から「歴代師主の撰述及び勧文」は削除された
◆もっとも「では、蓮如上人の御文の繰り読みに正当性はあるのか」などのある種の矛盾もある。宗憲の改正には「教団問題」への先人の深い苦悩があることを知らねばならないが、そうした観点から言えば、隣山の領解文を巡る問題は必ずしも対岸の火事ではない。(池田圭)
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