御料車(車両編)
その歴史'(クルマの世界)
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英国の御料車と各国の政府専用車
ステートリムジンとは、女王陛下の就任50周年を記念して進呈されたイギリス王室向けの公用車です。
ベントレー「アルナージ」をベースに、ただ1台だけエジンバラ公爵や女王陛下の運転手、そして女王陛下自身の意見を取り入れて作成されました。
多くの人々にとって、パレードなどで通り過ぎるステートリムジンを見ることは、女王陛下を見る数少ない機会になります。そのため、このクルマは「パノラミックグラスハウス」というコンセプトでデザインされ、外からの視認性を高めています。
ベースとなった「アルナージ」よりも全長が800mm以上長いだけでなく、幅も高さも拡張されており、高さに至っては女王陛下が身をかがめることなく文字通り歩いて乗り降りできるほど高くなっています。
後部ドアはリア側にヒンジがあり、90度開くので、とても乗り降りがしやすくなっています。
さらに、ルーフには紋章やペナントを取り付けるためのマウントポイントがあり、ラジエーターグリルの内側とフロントバンパーには、交通渋滞のなかで素早く移動するために青く点滅するフラッシャーが取り付けられているなど、特注の機能が満載されています。
女王陛下の公用車としては女王陛下が長時間、車内で快適に過ごせることも重要になってきます。
そこで、モノコック構造を採用し、トランスミッショントンネルをキャビンの下に通すことで、よりフラットなフロアを実現しました。
後部座席の位置は女王と全く同じ身長のモデルで決め、ハンドバッグの収納は女王が愛用するバッグの寸法で設計されています。
リアシートの内装に使用されたラムズウールの布はイギリスのテキスタイルメーカー「Hield Brothers」が製作し、残りの内装はすべてライトグレーのコノリーレザーで仕上げられています。
フロアマットは、リアシートがペールブルー、フロントシートがダークブルーで統一されています。
国家元首である女王陛下は、常に攻撃の脅威にさらされる可能性があります。そのため、車体やガラスはすべて特別に強化されており、キャビンは耐爆風構造で、ガス攻撃にも気密性を保つことができるようになっています。
またタイヤもケブラーで補強され、非常時にもスピードが出せるようになっています。
ベントレーの公式サイトには、エリザベス女王陛下はこのステートリムジンを就任後70年経ったあとも(つまり納車後20年間)使用したと記載しています