政府専用機
政府専用機
世界の大統領専用機たち
天皇陛下と皇后雅子さま、首相を乗せる「政府専用機」
6月22日午後6時(現地時間)ごろ、天皇、皇后両陛下を乗せた政府専用機が、英国・ロンドン郊外のスタンステッド空港に到着。タラップからゆっくりと降りたおふたりは、出迎えたチャールズ国王の側近らと握手を交わした。
おふたりが乗っていた航空機は、ボーイング社の「B777-300ER」。全日空や日本航空の国際線などで使われている機体で、全長は約73メートル、約150人が搭乗可能だ。
しかし、全日空や日本航空のマークはなく、日の丸の国旗が掲げられている。この航空機が、防衛省が管理し、航空自衛隊の特別航空輸送隊が運用している「政府専用機」だ。
政府専用機は、内閣総理大臣や各省庁の大臣、天皇陛下や皇族らが、公務のために海外を訪問する際に使われる航空機だ。
公式行事などの日程はしっかり決まっていても、思いもしなかったことは起こる。
2023年3月21日、岸田首相がウクライナを電撃訪問し、首都キーウでゼレンスキー大統領との首脳会談が実現した。
この直前、岸田首相は19日から22日の日程でインドを訪問。政府専用機には、前出の永野さんも乗り込んでいた。
そして、インドで予定されていた岸田首相の日程が終わったが、岸田首相がなかなか戻って来ない。実はそのとき、極秘にチャーターした民間のビジネスジェット機でウクライナへ向かっていたのだった。
「我々も当然、電撃訪問は知らされておらず、『総理は戻らない。そのまま帰ってくれ』と言われて。私の任務のなかで、総理不在で運航をしたのは初めてでした」
そして「VIP専用」というイメージがある政府専用機には、在外日本人を救援する役割も担っている。
2013年1月にアルジェリアで起きた日本人の拘束事件では日本人7人と9人の遺体を、16年7月にバングラデシュ・ダッカであったテロ事件では7人の遺体とその家族などを運んでいる。
「たとえば今ならイスラエルですが、常に世界情勢を見て、海外にいる邦人を救うために待機をしています。そうした部分も知っていただけたらうれしいですね」
と市橋さんは話す。