時代を映す鏡
時代を感じる出来事・・・。
瀧内公美の“横顔”
「女系天皇」読売は昨年から主張していた 渡辺恒雄氏の「遺言」
読売新聞が今月15日付け朝刊で掲載した「皇統の安定 現実策を」との提言は政界や言論界に少なからぬ衝撃を与えた。内容そのものに新鮮味はなく、「皇室廃止論」のような過激なものでもなかった。あえて言えば、立憲民主党的な中道左派といった内容で、言葉は悪いが「女性が天皇になれないのはおかしい」「だれが天皇でもいい」程度の浅はかな考えの羅列に過ぎなかった。
問題はこの内容を、なぜ「大読売新聞」が堂々と掲載したかだ。現在、国会では安定的な皇位継承のための各党協議の取りまとめが進んでおり、掲載のタイミングに政治的な思惑を危惧する声がある。その真相は不明だが、一つだけ確認できた事実がある。
実は読売新聞はほぼ1年前の5月19日、今回の提言とほぼ同内容の社説を掲載していたのだ。「皇族数の確保 制度維持へ政治の責任は重い」との見出しで、当時の与野党の議論などを振り返りつつ、皇族女子の配偶者とその子を一般国民とすることに「皇室の政治的中立性や品位を保てるのだろうか」として、皇族にすることを勧めていた。
その上で、「そもそも皇室典範は、皇位の継承を男系男子に限っている。万が一、皇室を維持できなくなるような事態に備え、少なくとも皇族女子の子を皇族とすることは選択肢としてあり得よう」と主張。一読すると皇族女子のあり方を述べているようだが、非常に回りくどい言い方で、「皇位の継承」にも触れていることがわかる。
さらに、旧宮家の皇族復帰案については「戦後長い間、一般国民として過ごしてきた人」「その子に皇位継承資格を与えることが『国民の総意』に沿うと言えるのか」と疑義を呈している。「女系天皇」「旧宮家復帰反対」とは言っていないものの、今回の提言の下地になった文章であることは明らかだろう。
同じ新聞社なのだから当然と言えば当然かもしれないが、この社説が書かれた当時、読売新聞グループ本社の代表取締役主筆だった渡辺恒雄氏はまだ存命だったのである。渡辺氏が亡くなったのは昨年12月19日。皇室に関わるような社説について主筆である渡辺氏が関係していなかったとは考えにくい。うがった見方をすれば、今回の提言の骨子的な部分は渡辺氏の考え方が相当反映されていたのではないか。
渡辺氏は東京帝国大学在学中、学徒動員で戦地に赴き、上官からの暴力などで相当に嫌な思いをしたことなどをインタビューなどで語っている。また、軍国主義、国家主義的な考えに反発して戦後の一時期、日本共産党の党員だったことも明かしている。読売新聞入社後は保守系の論客として知られたが、皇室や戦前の歴史などについては「保守系」の中でもやや違った考えを持っていたと指摘する見方もある。
今年2月にも読売は「皇位継承の議論 皇統の存続最優先に結論急げ」との社説を出している。今回の提言が掲載された後、ネット上などでは「読売が左傾化した」「渡辺氏が生きていたら…」などの声が上がったが、「読売の豹変」というより、「渡辺氏の遺言」と推測した方が、つじつまは合うのではないか。
「お笑い三人組」昭和31年から41年にかけて放映されたNHKドラマ。
トランプ大統領「アルカトラズを再建」
「冷たい海に囲まれた島にある難攻不落の要塞。運営された29年間に36人が14回脱獄を図ったが、誰も生きて出て行けないところ」。
米国連邦捜査局(FBI)がこのように記録している「アルカトラズ連邦刑務所」が約60年ぶりに復活する見通しだ。トランプ米大統領が世界的に悪名高かったこの刑務所を再建すると4日(現地時間)明らかにした。
トランプ大統領はこの日、SNSトゥルース・ソーシャルに「米国はあまりにも長い間、残忍かつ暴力的な犯罪を繰り返す者、社会に苦痛ばかり与えていかなる寄与もしないゴミのような存在のために苦痛を受けてきた」と投稿した。
続いて「最も危険な犯罪者をためらわず監獄に閉じ込め、彼らを人々から切り離した過去の我々のやり方は正しかった」として「我々はこれ以上、連鎖犯罪者を容認しない」と強調した。そしてトランプ大統領は連邦刑務所局に対し、司法省とFBI、国土安全保障省などと共にアルカトラズを大々的に拡張して再建し、米国で最も残忍で暴力的な犯罪者を収容ように指示した事実を明らかにした。トランプ大統領は「アルカトラズの再建は法と秩序、正義の象徴になるだろう」と述べた。
企業が重視するのは結局「学歴」…
今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。
「闘う経済評論家」として世の中の歪に注目する息子の康平が、父・卓郎の「最後の問題提起」を真っ向から受け止め、私たちのこれからの人生に必要な「解」を紡いでいくーー。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。