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大谷派教団の動き

真宗大谷派宗政の動きについて

臨時職とはいえ女性が宗派の行政職の長を務めるのは史上初となる。

2021-08-27
真宗大谷派 但馬総長が入院 10月臨宗で退任の公算
2021年8月25日 10時14分
真宗大谷派の但馬弘宗務総長(61)が体調不良で24日に入院したことが分かった。25日の宗務所の部次長会で発表された。但馬総長は任期満了に伴う9月の宗議会議員総選挙後に予定される10月中旬の宗会臨時会で退任する公算が大きい。
宗務総長の臨時代理は望月慶子参務(79)が務める。臨時職とはいえ女性が宗派の行政職の長を務めるのは史上初となる。(『中外日報』8月27日付で詳報)

但馬宗務総長の入院加療に伴う宗務総長臨時代理の任命について

2021-08-26
重要なお知らせ 2021.08.25

このたび、当派宗務総長の但馬弘が、入院加療により一定の期間宗務を執り行うことができなくなるため、宗務職制第6条第1項の規定に基づき、下記のとおり宗務総長臨時代理を置くこととなりましたのでお知らせします。

 

任 命:参務 望月慶子
事 由:宗務総長が入院加療により、一定の期間宗務を執り行えないため
就任日:2021年8月25日
退任日:宗務総長の入院加療が終了し、宗務執行が可能となったとき

経典の中の差別語問題 真宗大谷派が謝罪 書き換えられない文言、問われる解決のかたち

2021-09-19
東本願寺の境内(京都市下京区)
2021年9月18日 19:20

真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の僧侶、門徒でつくる議決機関・宗会が、約100年前から差別語であると批判されてきた経典の文言「是旃陀羅(ぜせんだら)」について、改善を誓う決議を全会一致で行った。文言を解説する際、日本で差別を受けてきた人たちに例えてきた歴史についても謝罪した。だが釈迦(しゃか)の言葉である経典は書き換えられず、時代とともに人権意識が変わる中、難しい決断を迫られている。

 是旃陀羅は、仏教の経典の一つ「観無量寿経(観経)」にある一節。観無量寿経は浄土真宗などで重要な経典とされてきた。旃陀羅は古代インドの被差別民を指し、同派では江戸から昭和初めごろまで日本の被差別身分に例えて説明されていたとみられる。1922年の全国水平社結成以来、差別を助長すると指摘され続け、40年には同社幹部から経典の語句訂正も含めた対応を求められた。

教団内でも「是旃陀羅」を差別語と認識して解説書で手厚く説明したり、学習会を重ねたりして対応してきた。だが経典の文言を変えるわけにはいかず、同派によると現在も年忌法要で「是旃陀羅」を含む観経が読経されることがあるという。

 一方で、2013年には部落解放同盟広島県連が改めて問題を提起。教団内でも2022年に水平社創立100年、23年に浄土真宗の立教開宗800年を控え、抜本的に解決すべきとの声が高まっていた。

 そこで僧侶でつくる宗議会と、門徒で構成する参議会(各65人)は今年6月に決議を提案し、それぞれ全会一致で可決した。

 決議文では「その言葉を耐えがたいと感じる人がいることに思いが至らず、読誦(どくじゅ)を繰り返してきた」と謝罪。「人間解放という人類共通の願いに向けた具体的な一歩を踏み出すべきである」とし、差別のない社会に向けて努力し続けることを誓った。

 ただ、決議について宗会議員の中には「長年の課題解決に向け、ようやくスタート地点につけた」との声がある半面、「具体的な解決策まで示しきれなかった」との指摘もある。

 一部の僧侶からは法要で「是旃陀羅」の文言を読まないことが解決策として提案されている。だが「経典を読み飛ばすことは、書き換えることと変わらない」、「ただ読まないだけでは問題を見えなくするだけで、根本的な解決とはいえない」との意見も根強く、解決に向けた道筋はまだ見えていない。

 執行部にあたる大谷派の内局は、決議を受けて「水平社100周年を迎える来年3月までに一定の見解を示したい」と説明。問題意識を共有するための冊子作りや全国25教区での意見集約を進めつつ、具体的な対応策の検討を進めているという。

▽「是旃陀羅」問題に取り組む部落解放同盟広島県連の岡田英治委員長の話

 初めて決議されたのは大きな前進で、過去をざんげしていることも評価したい。ただ、具体的な対応も決議してほしかった。最低でも不読にし、時間がかかっても教えと整合性がとれるように何らかの変更をするのが大事だと思う。経典には女性差別や障害者差別もある。同じ問題は他宗派にもあり、さらに考えてほしい。

「是旃陀羅」問題に関する決議

2021-07-07

2021年6月30日更新

「「是旃陀羅」問題に関する決議」を宗議会及び参議会において全会一致で可決

このたび、弊派の最高議決機関である宗議会(僧侶議員で構成)及び参議会(門徒議員で構成)において、「「是旃陀羅」問題に関する決議」が全会一致で可決されましたので、お知らせします。

「是旃陀羅」問題に関する決議

 私たちは、近年、部落解放を願う人々から、教団の根幹である教学・教化・儀式に直結する厳しい提起を受けてきました。『仏説観無量寿経』序分にある「是旃陀羅(ぜせんだら)」という言葉にかかわる問題です。
 このインドにおけるアウトカーストの人々を表す「旃陀羅」という言葉は、人間の尊厳を否定する根源的な差別語として機能してきました。私たちは、その言葉を聞くことで心が痛い、耐え難いと感じる人がいることに思いが至らず、法要儀式で読誦を繰り返し、またその言葉に「穢多」・「非人」という言葉を当てて教化してきた歴史がありました。私たちは、あらためて差別される痛みや苦しみを感じてこられたすべての人々に対し、深く謝罪いたします。
 また、私たちは、全国水平社創立以来、「親鸞に帰れ」という願いのもとに発せられる悲痛な叫びに、真に向き合うことができませんでした。信心の問題と差別によって人間が否定されるという問題を切り離してしまうなど、教学・教化・儀式の課題として受け止めきれなかったと言わねばなりません。それは、カーストの克服を大きな課題とした釈尊の教えや、「みな、いし・かわら・つぶてのごとくなるわれらなり」と吐露(とろ)した宗祖親鸞聖人の教えに違(たが)うものであり、念仏の僧伽(さんが)を求める同朋会運動の精神に対して、自ら背を向けるものであったと深く慚愧(ざんき)いたします。
 私たちが、是旃陀羅の問題をはじめ、聖教(しょうぎょう)における女性差別、また障がい者差別等、すべての差別問題における課題を共有することは、同時に、教えを通して我が身の差別性が自覚させられていくことであります。
 全国水平社創立百年、立教開宗八百年を目前にした今、私たちは、差別を受けてきた人々に二度と同じ苦しみを与えることがないよう、また、差別をし、見過ごし気づけなかった過ちを繰り返すことのないように、あらためて、「人間解放」という人類共通の願いに向けた具体的な一歩を踏み出すべきであると考えます。
 私たちは、宗憲前文の「同朋社会の顕現」という使命を果たすために、国家・宗教・民族・性別などのあらゆる差異(ちがい)を超えて差別のない社会を求め、継続的な努力と歩みを重ねていくことをここに誓います。
以上、決議いたします。

   2021年6月28日
                  真宗大谷派 宗議会議員一同 
   2021年6月30日
                  真宗大谷派 参議会議員一同

2021年6月21日更新 HP東本願寺 6月21日、第70回宗議会(常会)が招集されました。

2021-06-21
2021年 宗会(常会)宗務総長演説(要旨)1~6頁
本日、ここに宗会常会を招集いたしましたところ、議員各位におかれまして は、全国各地からご参集賜わり、誠にご苦労さまでございます。 平素より、宗門護持のためにご尽力をいただいておりますことに、厚く御礼 申し上げます。 さて、当初5月下旬より予定いたしておりました宗会(常会)でしたが、新型 コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の延長等を受け、招集期 日を延期し、本日からの開催となりました。宗参両会の議長をはじめ、関係各位 のご尽力により、年度内での議会日程をお組みいただきましたことに、先ず心よ りの敬意と感謝を申し上げます。 当局といたしましては、でき得る限りの感染防止対策を講じて、議会運営に資 してまいりたいと存じますので、議員各位におかれましても格段のご理解とご 協力をお願い申し上げます。 【新型コロナウイルス感染症の感染拡大】 さて、いまだ終息が見えず予断を許さない状況下の新型コロナウイルス感染 症については、全国の各都道府県に緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置の発 出が相次ぐ中、ワクチンの接種が順次開始されておりますが、すべての方々に行 き届くにはまだ時間を要する模様であります。 感染症によってお亡くなりになられた方々とそのご家族に、衷心よりお悔や み申し上げるとともに、療養中の方々の一日も早いご回復を念じ申し上げるも のであります。 また、このような中、一年以上の長きにわたり、人命と生活を守るためにご尽 力くださっているすべての皆さまに、心よりの敬意と感謝を申し上げます。 この感染症によって、各ご寺院での法務・教化活動をはじめ、宗門運営にとり ましても大変厳しい事態が続いております。そのような中にもかかわらず、厳修 まで二年を切った宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要に 向け、さまざまな工夫を重ね、法義相続・本廟護持にご尽力いただいている宗門 各位に、あらためて深甚の謝意を表させていただきます。 
【震災を忘れない】 
私たちは、東日本大震災から10年、熊本地震から5年の年を迎えました。両 災害において、今もなお苦難の生活を送られている方々、深い悲しみの中におら れる方々が多数おられることを忘れることはできません。中でも東日本大震災 に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故では、深刻な放射能汚染のため、多 くの方々のかけがえのない故郷が失われました。 被災されたすべての方々に対して、あらためてお見舞い申し上げるととも に、「忘れないでほしい」「現実を見てほしい」という被災者の方々の声や願い に耳を澄ませ、その苦しみや不安に心を寄せ続けてまいります。 宗派では、「原子力発電に依存しない社会の実現」を目指し、これまで政府 への要望書提出をはじめ、声明や見解を表明してまいりました。 一方、国では、地球温暖化対策として、2030年までに温室効果ガスの排 出を半減させ、2050年には脱炭素社会の実現を目指すことが表明されてい ます。しかし、これを実現させるための必要なエネルギー源として、再び原発 への依存を強めていく動きが露わになってきています。 宗派といたしましては、今なお続く事故の厳しい現実から目をそらすことな く、原子力発電に依存しない社会の実現に向けて提言を続けてまいりたいと思 うことであります。 
【転換期にある時代と宗門】 
さて、昨年以来、新型コロナウイルスによって、あらゆる面で行動が制限され、 人と人との交わりにもさまざまな制約を受けるなど、社会全体が元に戻れない ほどに、根底から大きく変わる転換期を迎えています。 このことによる、デジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な普及は、 時代の必然とも言えますが、物事の選択・決断を、成功と失敗の中で育くまれて きた人間の経験値によるものから、人工知能であるAIに安易に委ねていく潮 流が急加速していることには、危惧を抱かざるを得ません。倫理の問題はもとよ り、「人間とは何か」「何に依って生きていくのか」という、宗教の原点とすべき 「生きる方向性」が問われる時代が到来しています。 宗門においても、変容する時代の大波の中で、従来の教化事業や仏事執行など、 宗門活動のすべてに、これまでにない工夫や変革が求められる時代に突入して います。しかしながら、このように価値観が根底から揺さぶられる時代であるか らこそ、何よりも私たちが忘れてならないのは、これまでの度重なる宗門の危機 の中にあっても、教えに出遇ってこられた先達の方々の歓喜と謝念によって伝 統されてきた、「立教開宗の精神」と「宗門存立の本義」であります。 このような転換期にある中、宗門では、昨年11月に門首継承式を、本年4月 に慶讃法要に向けた真宗本廟お待ち受け大会・本廟創立七百五十年記念大会を 執り行ったことであります。 
【門首継承】
 第26代門首に就任された大谷暢裕門首は、門首継承式の表白において、宗門 人の願いが結実した宗憲を遵守し、真宗の教法を聞信し、仏祖崇敬の任にあた り、同朋社会の実現を期すことを宗祖御真影の御前において誓われました。 そして、お待ち受け大会においては、新型コロナウイルスの感染拡大等による 現在の危機的状況を、正法弘通の転機と受け止め、慶讃法要に向けて「南無阿弥 陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう」というテーマのもと、本願念 仏のみ教えに、「人と生まれたことの意味」を丁寧にたずねていくいとなみを、 世界中の人々と共にしたいと表明されました。 今後、門首及び新門におかれては、慶讃法要に向けて各教区のお待ち受け大会 等に出向いただき、全国の皆さまとの交わりを深めていただくことであります。 当局といたしましては、さらに世界中に南無阿弥陀仏の教えをお伝えしていく ためにも、宗門各位とともに歩みを進めていただけるよう務めてまいります。 退任された大谷暢顯前門におかれましては、本廟留守職の伝統に立ち、重責を 果たしてこられた24年間のご尽力に、あらためて心から深く感謝を申し上げ るものであります。 
【宗憲改正40周年】 
さて、私たちは、本年6月11日をもちまして、現真宗大谷派宗憲が、教団問 題という宗門の存亡が問われる危機の中、先達方が心血を注がれて改正されて から40周年を迎えました。 先達方は、いかなる時も「同朋の総意に基づくこの宗憲に則り、立教開宗の精 神と宗門存立の本義を現代に顕現し、宗門が荷負する大いなる使命を果すこと を誓う」と、宗憲前文に顕かにしてくださっています。そして、第2条の目的に おいて、「立教開宗の精神に則り」「同朋社会の実現」を期すことをもって時代 社会に応えていくことを、真宗大谷派が存立する根拠と見定めてくださってい ます。 現宗憲の制定から40年を経た今、いつのまにか私たちは、この宗憲が制定さ れた苦難の歴史を忘れ、宗憲を当たり前にあるものとしてはいないでしょうか。 「自信教人信の誠を尽くし、同朋社会の顕現に努める」という宗門に属する者の 使命、宗祖親鸞聖人の立教開宗の本義をあらためて確かめる中でなされた先達 の苦闘の歩みに、あらためて私どもの現在を省みる必要があると思うのであり ます。 
【私にとっての慶讃法要 -慶喜奉讃に起つ-】 
4月に開催した真宗本廟お待ち受け大会・本廟創立七百五十年記念大会の記 念法話において、池田勇諦先生は、「慶讃」という言葉の原点である「慶喜奉讃」 について、「慶喜」は「本願の呼び掛けに呼び覚まされた知恩の感動を表し」、「奉 讃」は「知恩の感動に必然する報徳の歩みを表す」と押さえられました。そして、宗祖の御誕生と立教開宗の私たちにとっての意義を、「知らしめられた恩徳を、 遇わせていただいた教えを、次の世代に確かに手渡していかねばならんという 使命感に立ち上がること」とお示しくださいました。 また、本廟の創立ということとも関連づけられ、来る慶讃法要を「本廟創立の 精神に立ち返って、本願念仏の僧伽の伝統に召される慶びとともに、背負う責任 を確認するご法要」であると、慶讃法要をお待ち受けする覚悟が、私たち一人ひ とりに問われていることを述べられました。 本廟創立の精神とは、宗憲前文に述べられている精神そのものであります。そ して、その精神によって、本願の歴史の中にかたじけなくも、私一人に開かれる のが僧伽たる同朋社会であります。にもかかわらず、私どもには日々、差別社会 をつくりだしているという現実があります。池田先生には、差別をつくりだす現 実と切り結ぶ「同朋社会を呼吸圏とする生き方」を歩むことこそが、「顕現」の 証であるとの大切なご示唆をいただきました。 私どもは、『教行信証』の草稿が成ったとされる元仁元年(1224年)を立 教開宗の年と定めております。宗祖はその「総序」の文の結びに、「ここに愚禿 釈の親鸞、慶ばしいかな、西蕃・月支の聖典、東夏・日域の師釈、遇いがたく して今遇うことを得たり。聞きがたくしてすでに聞くことを得たり。真宗の教 行証を敬信して、特に如来の恩徳の深きことを知りぬ。ここをもって、聞くと ころを慶び、獲るところを嘆ずるなりと。」と記されました。まさに親鸞聖人に あっては、よき人・法然上人を通して、三経七祖に伝統される真実の教えに出 遇われた慶びにもよおされ、その御恩に応えんとして、『教行信証』を著された と受け止めさせていただきます。 教えに出遇われた宗祖が、その後の生涯を報恩のいとなみとして尽くされた ように、私という自我を超えて届けられた本願の名号、南無阿弥陀仏に出遇うこ とで、人と生まれたことの意味をたずねる道に起つ慶びをいただいた者として、 「知らしめられた恩徳を生きる身となる」ことこそが、慶喜奉讃の内実でありま す。そして、はからずもかけられている大いなる願いに起ち上がることは、せず におられぬという意欲として、次世代に教えを受け渡していくいとなみに、自ら 参画していくことにつながるのであります。 現代という時代は、科学技術の発達が、本来の目的であった利便性の向上や生 活の充足の域を超え、人間の欲望の飽くなき膨張が、自然環境の破壊のみならず、 格差の増大や差別の深刻化をもたらし、人間存在そのものの破壊の域にまで達 しようとしております。そのような混迷の只中において、私たちが取るべき道を、 池田先生は「回帰」であると述べられました。 私たちは関係を生きています。あらゆる存在は一体としての同一のいのちを 生きております。人間破壊の域にまで達した現代に対し、勇気を持って「退一歩」 し、あらゆる存在が南無阿弥陀仏によってつながっている「根源的連帯」に回帰 することこそ、現代にあって願われている喫緊の課題であり、このたびの慶讃テ ーマがその道標となることを押さえていただきました。 新型コロナウイルスによって、先行きが見通せない現代であるからこそ、南無 阿弥陀仏によって、一人ひとりがあらためて立ち位置を確かめ、慶讃法要を真の 勝縁として、「慶喜奉讃」「知恩報徳」に生きる時節を賜ったことであります。 
【ポストコロナを「利他」の視座で】 
真宗本廟お待ち受け大会前日の記念講演会及びシンポジウムにおいて、京都 大学前総長の山極寿一氏は、急速な発展を遂げているデジタル社会において、知 識情報の蔓延により人間があたかも機械化し、本来備わっていた直感力や情緒 的感覚が失われていることを挙げ、個と個がバラバラになり、袋小路に入って苦 しんでいる時代の闇を提起されました。 また、「他人に迷惑をかけてはならない」と教育によって教えこまれてきた価 値観よりも、むしろ「迷惑をかけなくては生きては行けない」現実に気づかされ ることで、人間はつながりを回復できるのであり、その人間の弱さを認め合うと ころに責任が芽生えてくるという旨を述べられました。さらに、「文化と科学が 共鳴し合う新たな環境倫理をつくる」必要性と、独りではけっして得られない安 心や共感、人生の不条理の苦悩といった、医学や科学が解明できない分野で、宗 教が果たす役割を示してくださいました。 関連して世界に目を向けますと、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し て以降、さまざまな立場の有識者より、「利他」という語が発せられています。 教学委員として参画いただいた東京工業大学の中島岳志氏は、学内の「未来の 人類研究センター」に「利他プロジェクト」を設置されております。そこでは、 意図的に利他を行おうとする作為によって、むしろ利他は遠ざけられるもので あり、無為の中にこそ利他の本質があり、自我を超えて促されるものとして、自 と他が一つになることで利他が生まれると、真宗の教えに学ばれた視座で利他 の研究をしておられます。 一般に流布している西洋由来の利益を優先する利他主義と、真宗における利 他とは、『歎異抄』に宗祖の言葉として「慈悲に聖道・浄土のかわりめあり」と 示されているとおり、一線を画します。しかし、現代社会において世界的に「利 他」という言葉が現れ出ている根底に、真宗において説かれる「利他」とけっし て無関係に捉えてはならないと感じるのであります。 金子大榮先生もまた、50年前の慶讃法要に寄せて、「還相回向ということは つまり利他教化で、自分のよろこぶことを人にも知らせたいということであり ます。この利他教化ということが念仏者にとっての自然の感情でしょう」と述べ ておられます。(『真宗』1973年1月号) 仏教の永い伝統の中、如来の本願力回向として、数限りない念仏者の歩みが続 けられてまいりました。今、世界に求められているポストコロナにおける「利他」 の視座は、先に述べた門首の「世界中の人々と共に念仏にたずねる」という願い、 池田先生の「南無阿弥陀仏を根とする根源的連帯」、山極氏の「文化と科学が共 鳴し合う新たな環境倫理」といった提起と、根底に相通ずる願いがございます。 このことは、混迷する時代社会の大転換期にあって、人間の根源的願いが表出し てきた証しとも言えるのではないのでしょうか。今、時代は、かけられた願いに、 原点に立ち返る時にあるということであります。 このような時代にあって、同朋社会の顕現に努めることをその使命と見出し た宗門として、世に応えていく歩みを、宗門を挙げての課題とし続けてまいりた いと、心より願うものであります。今こそ、念仏申す私たちの、凡夫の身を離れ ない生活者としての生き方が問われています。 
2021年 宗会(常会)宗務総長演説(要旨)6~12頁
【宗務改革】 
新型コロナウイルスの感染拡大により、ますます喫緊の課題となった宗務改 革もまた、次世代に教えを受け渡していく宗門の使命を果たすべく、「慶喜奉讃」 「知恩報徳」のいとなみとして、衆知を集め、実行可能なところから後戻りする ことなく着実に進めて行かねばなりません。 宗務改革の推進は、教区改編・門徒戸数調査・財政改革を主として進めてま いりましたが、2021年度より行財政改革を包含して積極的に取り組むこと であります。 この行財政改革は、時代社会に対応し、次世代に教えをつないでいくため、 持続可能な基盤整備を行うべく、3つの柱をもって取り組んでまいります。 1点目は、教区・組の特性を大切にしながら1ヵ寺の活性化を願い、すべて の宗門の機能を「人の誕生と場の創造」に収斂してまいります。2点目に、I T活用等による徹底的な事務効率化を進め、「教学振興と教化推進に注力でき る機構への再構築」を図ります。そして3点目として、厳しい社会状況を見据 えて、「組織機構の縮充化」を図るものであります。 この改革における財務方針等の詳細については、財務長演説に委ねますが、 組織機構・教化・財務における主な取り組みを述べさせていただきます。 まず組織機構の面では、特に教区改編について、九州教区における教区寺院 活性化支援室の実働や、岐阜高山教区における別院を中心としたエリア教化の 実働等、着実な歩みが進められております。 また、奥羽・仙台・山形の東北3教区においては、2022年7月に新教区 が発足いたします。さらに、富山・高岡及び小松・大聖寺教区においては既に 合意書が取り交わされ、三条・高田教区においても今月末に合意書が取り交わされる予定であり、いずれも2023年7月に新教区として発足することであ ります。 そして、能登・金沢、長浜・京都及び山陽・四国教区においても、改編に関 する協議が鋭意なされております。 各教区において、新教区発足後の歩みや、改編に向けて、真摯に且つ丁寧な 協議を重ねていただいていることに、深謝申し上げます。 その他、機構面においては、中央宗務機関の局制への改編、教化拠点として の教務所の役割の見直し、総合的な人事計画といった、宗務機構の最適化を企 図しております。 次に教化の面では、特に本山・教区・別院・組の明確な役割分担と、それに 基づく教化研修計画の策定について、慶讃法要に向けた中期教化研修計画にお ける3期9ヵ年度の取り組みが2022年度に区切りを迎えることから、新型 コロナウイルスの影響による計画の変更も見越し、2021・2022年度の 2ヵ年度を一体化した計画といたします。加えて、教化委員の任期3ヵ年度を 1スパンとして計画を立案・実施している教区の実情に鑑み、慶讃法要後の教 化研修計画は、2023年度から始まる教区教化委員の任期に合わせ、以降3 ヵ年度を一体化した計画を恒常化させ、本山・教区・組の教化研修計画に、連 動性や一体感をもたらすことを期するものであります。これに関連して、既に 教区や組と重複していた本山主催研修会は、廃止する方向性をもって、予算編 成においても、その方向に舵を切っていることであります。詳細については、 教化研修計画をご覧ください。 その他、教化面においては、本山教学研究機関と教区機関との連携、各種関 係団体との関係性の見直しといった、1ヵ寺の更なる活性化に寄与し、未来へ 教えをつなぐ、教学振興と教化推進に向けた環境整備を企図しております。 次に財務の面では、特に2022年2月に実施する第4回全国門徒戸数調査 について、調査結果の数値を経常費御依頼の基準として、これまで以上に反映 させるべく、御依頼割当基準策定委員会を設置して取り組んでまいります。 その他、財務面においては、予算規模の明確化、歳入構造の変成と交付金制 度の見直し、財政調整基金(仮称)の新設、一般会計と特別会計の統合による 宗派会計の再編成、新たな宗派財源の確保といった時代状況に応じた予算規模 を目指し、公平で透明な財政制度の構築を企図しております。 これらの改革は、2023年の慶讃法要を待つことなく、当局の責任におい て、実行可能なものから順次進めてまいります。そのために、本年3月には行 財政改革推進準備室を設置いたしました。今議会においては、行財政改革をあ らためて宗務改革の重要な柱の一つと位置づけ、一体のものとして推進してい くために、宗務改革推進本部の設置を提案するものであります。また、然るべき時期に内局巡回等を実施し、行財政改革の目的を明確化し、 宗門内での共有を図り、持続可能な宗務機構への変革に向けて、信頼感を醸成 していく予定であります。 かつて宮城顗先生は、「教団の組織における中央というものは、要するに、 地方が地方として活きた歩みをすすめてゆくための場・パイプだと私は思って います。中央と地方をつなぐパイプではなく、地方が活きた地方となるための パイプとしての働きをすることのほかに、中央としての存在意味はないのでし ょう」と述べておられました。(『教化研究』第75号) このたびの行財政改革の推進は、本山という中央機構のあり方を変えていく ことのみならず、教区・別院・組が特性を発揮するために、どこまでも1ヵ寺 が聞法の道場として活性化していくことを願い、成し遂げなければならない転 換です。 
【共創環境の充実と新たな教化体制の構築】
 昨年9月に全国の組長寺院を対象として実施した「新型コロナウイルス感染 症の影響下における寺院の教化活動の工夫に関する調査」の分析では、以前か ら指摘されていた仏事の簡略化、門徒との関係性の希薄化や寺離れが顕著に現 実のものとなった一方、「お寺にお参りしたい」という声が多く寄せられてい たことであります。感染症の影響下にある不安や孤独から、人と会することの 日常の尊さといった、寄り合って生きる人間の原点に回帰していける場が、寺 院であるということを再確認したことであります。 僧侶と門徒が対話を重ね、感染対策を施して聞法の場を再開してきた寺院 や、寺報などの文書伝道を始められた寺院が多くあります。むしろ感染症の拡 大によって、あったものがなくなった状況において、悩み迷うことを通して、 寺院の存在意義や共創環境は増したように思うのです。社会や門徒の声を聞 き、寺院が潜在的に持つ共創力を活かして、継続可能な聞法の場づくりを、僧 侶と門徒が共に創る環境にあるということが、寺院の強みであります。 また、1ヵ寺の活性化を目指していく取り組みにおいては、「一人の人、一 つの寺を大切に支える宗門」として、教区寺院活性化支援室の設置等によっ て、1ヵ寺を支える体制づくりを進めてまいります。 その意味において、昨今の特徴を挙げますと、組で推進員教習等の共同教化 に資する教化事業が行われてきましたが、寺院に同朋の会が出来ていかないと いった長年の課題に応えていくため、複数の教区において、教区教化委員会内 に「寺院運営相談室」や「組教化の推進に関する機関」の設置が検討され、当 該機関が「教区寺院活性化支援室」の役割を担っていく傾向にあります。組や 寺院の意見等を汲み上げていく機関を設置される傾向にあることは、「組を基軸とした教化」、「1ヵ寺の活性化」の具体として、非常に的を得た取り組みで あります。 また、新型コロナウイルスの影響により、急速に普及したオンライン化によ って、教化事業の情報が教区を超えて流通し、共有される時代になりました。 これにより、教区を超えた教化事業の開催が可能となり、これまで過多の傾向 にあった事業を、連区内や教区間の持ち回りで開催していくことが検討されて います。教区に伝統されてきた事業を大切にしながらも、事業の「選択と集 中」を、「連携と共有」という方法をもって具体化されようとしていること は、学びの機会や場を共有することを通して、人の出会いが拡がり、全体の質 的向上にも大きく寄与するものとして期待されることであります。 これらの動きは、教区改編や、教区寺院活性化支援室の設置によって、1ヵ 寺の活性化に向けた教化拠点としての教務所機能の充実を期する、行財政改革 と軌を一にするものであります。大きな行政単位にあっても、きめ細やかな教 化支援をしていける体制づくりを、各現場がその役割と特性を発揮して進めら れていることであります。 
【慶讃事業の推進】 
慶讃事業は、「宗門の基盤づくり-新たな教化体制の構築-」、「本願念仏に 生きる人の誕生と場の創造」、「あらゆる人びとに向けた真宗の教えの発信」と いう方針のもとに、5つの重点教化施策を4ヵ年度に亘って推進していること であります。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、当初の計画通 りに事業を進めることが難しい状況にあるため、事業実施の可否を慎重に見定 めて再編成したことであります。 まず、青少幼年教化については、子ども会をはじめとする仏事の場が、ひと りの青少幼年と出あう場となるよう、現場に応じた教化支援となることを期し て、各種の講習会や支援事業、教化教材の作製や改訂等を進めてまいります。 また、全教区から推薦された方々と、青少幼年教化の基本姿勢を学ぶ学習会 を開催し、人の養成に取り組みます。 次に、教師養成については、より実践的な学びを導入するべく、「教化学」 にグリーフケアの学びを導入する取り組みを進めております。新型コロナウイ ルスの影響で1年延期していた、養成校の教員を対象とする「真宗とグリーフ に学ぶ研修会」を本年5月から開始しました。研修会終了後には、具体的な実 施に向けたフォローアップの取り組みを進めてまいります。 また、通信教育制度については、養成校を交えた会議を設置し、教師資格取 得後の研修制度についても、教区と連動した制度構築を目指して協議を開始い たします。 次に、寺院活性化については、新型コロナウイルスの影響により、「元気な お寺づくり講座」や現場に赴いての各種支援が困難な状況にあるため、各種支 援員の基礎・専門講習といった、人の養成に注力していくとともに、先述の 「新型コロナウイルス感染症の影響下における寺院の教化活動の工夫に関する 調査」の分析結果から見られる、寺報作成などのニーズに合わせたオンライン での教化支援に取り組んでおります。今後も支援員の養成に取り組むととも に、現場の要望に応じた教化支援を継続してまいります。 また、2020年度に設置された九州教区の寺院活性化支援室は、2021 年度から取り組みが本格始動し、教務支所に配属されている教化相談員も支援 員講習を受講していくことになっております。 本年7月には、大垣教区においても支援室が設置され、その他の教区におい ても、支援室の設置について検討が始まっております。教区の特性に応じた支 援室のあり方を、教区の方々とともに検討し、取り組みを進めてまいります。 次に、真宗の仏事の回復についてであります。報恩講をはじめ、朝夕のお勤 めや通夜・葬儀・法事など、あらゆる仏事の簡素化が進んでおります。真宗の 仏事の基本は、御本尊を中心とした生活と仏法聴聞の場にあります。次世代に 御本尊のある生活を伝えるべく、パンフレットや『正信偈書写本』等を活用し て、自身にとって「仏事」を確かめる場の創出を働きかけてまいります。 また、御本尊の手渡しをはじめとする、真宗の仏事の回復に向けた教区事業 への助成を継続し、地域の特性を活かした施策が展開されていくことを願うも のであります。 次に、真宗本廟奉仕上山促進については、奉仕施設独自の感染予防ガイドラ インに基づき、定員を減じた上で、検温・消毒等の対策を徹底し、すべての上 山団体を「慶讃法要お待ち受け奉仕団」として受け入れてまいります。 また、慶讃法要に向けたテーマ別の本廟奉仕や、法要・讃仰期間中における 本廟奉仕の充実に向けた取り組みを進めてまいります。 なお、慶讃法要の団体参拝に関しては、2021年度に団体参拝受入センタ ーを本廟部内に設置し、参拝計画を確定させ、教区ごとの参拝席抽選会へと進 めてまいります。 
【是旃陀羅‐念仏者としての課題‐】 
念仏者として自身が問われ続ける重要な課題として、『仏説観無量寿経』「禁母 縁」における「是旃陀羅」の課題があります。2019年度の宗会において、2 022年3月の水平社創立100周年までに一定の見解を示せるよう、議論を 深めていくことを表明いたしました。 現在、是旃陀羅に関する手引書の作成に資する取り組みとして、教学研究所と 解放運動推進本部の合同で、「『観無量寿経』に聞く研究会」を定期的に開催しております。 また、2020年度開催の「部落差別問題等に関する協議会」では、是旃陀羅 問題に関する各教区からの意見を整理し、協議会における議論の方向性を定め るため、協議会参加者から選出した「企画会議」を設け、意見をまとめていく予 定であります。 いずれにいたしましても、念仏者たらんとする宗門の一人ひとりに、是旃陀羅 の問題が「私の課題」として共有される取り組みを進めてまいります。 
【都市教化】 
都市教化は、これまで首都圏教化推進本部を中心として、「親鸞フォーラ ム」等の教化事業、離郷門徒や潜在門徒との更なる関係構築を目指した仏事代 行執行制度などに取り組み、近年では、これまでの知見を活かし、大都市圏を 抱える大阪や九州教区との連携を進めてまいりました。 そのような中、殊に九州教区における教区改編の歩みの中では、福岡市に離 郷門徒の方々への教化拠点の設置が切望され、この5月からは、福岡教務支所 「東本願寺 仏事サポートセンター福岡」が市内中心部に設置されたことであ ります。 首都圏や福岡・大阪に限らず、全国的な過疎過密の問題も視野に入れなが ら、引き続き、都市教化の課題に対する総合的な議論を進めつつ、首都圏にお いては、全国各都市部のモデルとなるような先駆的な事業の策定と情報発信に 努めてまいります。 【男女共同参画】 宗門運営に女性の参画を推進することを願い、2015年に制定した「男女共 同参画推進に向けた組門徒会員選定に関する特別措置条例」をもとに、本年3月 に制定から3回目となる組門徒会員の改選が行われ、5,531人、率にして3 2.9%の女性門徒会員が誕生しました。男女両性で形づくる教団の実現に向け て一歩前進したことになります。今後とも1ヵ寺の現場をはじめ、組・教区全体 で、男女共同参画の具現化に向けて取り組みを進めてまいります。 なお、宗務の現場では、慶讃事業と軌を一にする「男女共同参画実施計画」が 実働しております。変化する社会情勢に対応し、性別に関わりなくその個性と能 力を十分に発揮できる教団形成が求められる中、引き続き、宗門の将来像を創造 する重要な取り組みと位置づけ、積極的に推進してまいります。 以上、宗門の将来にとって重大な岐路となる2021年度の宗務執行方針に ついて申し述べてまいりました。
この6月に没後50年を迎えた曽我量深先生は、逆縁が仏教を興すことを、 「逆縁教興」という言葉で表現されました。 宗門運営は、極めて困難な時代に突入しておりますが、我が宗門には、世の苦 悩を自らの苦悩として受け止め、それに応えんがために動き続け、表現し続けて きた、私にまで連なってきた先達の尊い歩みがあります。 宗祖が『教行信証』の最後に、「前に生まれん者は後を導き、後に生まれん者 は前を訪らえ、連続無窮にして、願わくは休止せざらしめんと欲す。無辺の生死 海を尽くさんがためのゆえなり」と、『安楽集』の文を引かれた精神の具現こそ が我が宗門であります。いつの時代も「人の連続性」が途絶えることなく、同朋 会運動によって時代に応え、同朋社会の顕現に努めることを使命としてきたこ とこそが、我が宗門のいのちであります。 新型コロナウイルスの感染拡大によって今、念仏者として問われる課題と迫 られるさまざまな変革は、いずれも避けることができないものであります。しか し、それは同時に、新しい宗門の形を創造していく機会を、今を生きる私たちが いただいたということであります。正に「逆縁教興」であります。 幾多の変遷を重ねてきた宗門の長い歴史において、今、この時節に巡り合えた ことに、深い縁を感ずるとともに、それに真向かって宗務を執行していく重い責 任を感じるのであります。 次世代に過つことなく教えを手渡していくため、この宗門に属し、この時に出 あえた慶びと覚悟を共感・共有し、ともに果敢に歩みを進めて行こうではありま せんか。 
議員各位におかれましては、提案いたしました全案件について、慎重に審議 を重ねていただき、全会一致をもってご可決賜わりますようお願い申し上げま す。 以 上     
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