オリンピック
【 TOKYO2020の記録】
自動運転バスに接触し負傷 出場断念 選手村で日本人選手
東京パラリンピックの選手村で柔道の日本代表選手が自動運転バスと接触して負傷し、28日の試合を欠場することになった。
柔道男子81キロ級(視覚障害)で、28日午前に1回戦を戦う予定だった北薗新光選手は、26日、東京・中央区晴海のパラリンピック選手村で自動運転のバスと接触し、頭部を打撲するなど全治2週間のけがをした。
北薗選手は、選手村の交差点を渡る際に接触したとみられる。
巡回バスとして運行されていた自動運転車を開発したトヨタ自動車は、「おけがをされた方の一日も早い回復をお祈り申し上げます。現在、全面的に運行を停止し、警察の捜査に全面的に協力してまいります」とコメントしている。
義足にかかる力は体重の10倍、技術を駆使して空中へ 山本篤の技
長身で若い世界のロングジャンパーが台頭する中、167センチの山本篤(39)は体格面で劣る。だが、それを覆すだけの跳躍技術が彼を支えている。28日の東京パラリンピック男子走り幅跳び(義足T63)で、2008年北京大会、16年リオデジャネイロ大会に続く三つ目のメダルを狙う。
走り幅跳びで最も重要なのは、助走で得たスピードをいかに効率よくジャンプにつなげられるか。山本は自身の強みについて「助走の力を跳躍に変換する能力が高い」と語る。自己ベストは19年5月にマークした6メートル70。7メートル超えを目指している。
跳躍では踏み切るブレード(カーボン製義足)に、どれだけ大きな力を加えられるかがカギだ。山本は最後の一歩を、体のやや内側に踏み込ませる。加重を一点に集中させて、ブレードをぐっとたわませるためだ。
その力は体重の10倍とされ、山本の場合は約600キロ。そして、ここからの跳び上がりに、健常者との違いがはっきり出てくる。
ドイツ・ケルン大の研究によると、健常者は踏み切り時に大きなブレーキがかかるのに対し、ブレードはその力が小さい。さらに、たわませたブレードが元に戻ろうとする力で加速が生まれる。健常者に比べて義足が「有利」とされる最大のポイントだ。
山本はたわんだ一瞬の「間」を感じながら、ブレードが伸びるタイミングに合わせて空中に飛び出す。山本は「健常者よりも角度がある30~40度のイメージ」という意識を持つ。
50歳の上与那原、粘りの「銅」 陸上男子400メートル
27日に行われた東京パラリンピック陸上の男子400メートル(車いすT52)で、上与那原(うえよなばる)寛和(SMBC日興証券)が3位に入った。
佐藤友祈(ともき)(モリサワ)とマーティン(米国)によるハイレベルな優勝争いの裏で、50歳の上与那原が粘りの走りを見せ3位に入った。「応援してくださる方にひとつ形になる恩返しができた。うれしいのひと言」と声を震わせた。
大会直前に障害の軽いクラスに変更となり、この種目に出場できなくなった58歳の伊藤智也(バイエル薬品)とは、ともに合宿をするなどし高め合ってきた間柄。伊藤からは「前半上げすぎないように」などとアドバイスを受け、この日も選手村出発前に「必ず3位に入ってこい」と背中を押されたという。
4度目のパラリンピックで2つ目のメダル。この種目のファイナリスト唯一の50代は「若い方々と走ったほうが刺激をいただける。まだ戦えるので、追い出されるまでは頑張りたい」。まだまだ意気盛んだ。(森本利優)
東京2020大会 陸上・唐沢剣也が銀、和田伸也が銅 車いすラグビーは予選全勝で準決勝へ
車いすラグビー 日本はオーストラリアを破りグループ首位で準決勝へ
予選グループ2連勝で準決勝進出を決めた日本は、同じく準決勝進出が決まっているオーストラリアと対戦。一度もリードを許すことなく57−53で完勝し、予選グループ全勝の首位で準決勝に進出した。
パラリンピック3連覇を狙うオーストラリアとの首位通過をかけた一戦で、日本は完璧な試合運びを見せた。第1ピリオドから守備でプレッシャーをかけ続け、1点リードで終えると、第2ピリオドでは池透暢がターンオーバーからトライを決め、リードを2点に広げる。守備でも残り4秒からトライを狙ったロングパスを、相手選手をタックルし点を取らせない。
ミスが出ても、相手の得点にはつなげないプレーをし続け、世界ランキング1位に勝利した日本。悲願の金メダルまであと2勝と迫った。この日14トライを奪った島川慎一は、試合後、勝利を喜んだ上で、「ここからがスタート。しっかり勝ち切って決勝に進みたい」とあすの準決勝に向けて気を引き締めた。
東京2020パラリンピックマスコット
東京2020パラリンピックマスコットは、桜の触角と超能力を持つクールなキャラクター。顔の両サイドにある桜の触角でテレパシーを送受信しています。また、市松模様のマントで空を飛ぶことができます。普段は物静かですが、いざとなると誰よりもパワフル。超人的パワーを発揮するパラリンピックアスリートを体現する存在です。凛とした内面の強さと自然を愛する優しさをあわせ持っています。超能力を使って石や風と話したり、見るだけで物を動かすこともできます。
<名前の由来>
ソメイティという名前は、桜を代表する「ソメイヨシノ」と非常に力強いという意味の「so mighty」から生まれました。桜の触角を持ち、驚きの強さを見せるソメイティ。東京2020大会を通じて、桜を愛でる日本の心とパラリンピックアスリートの素晴らしさを印象づけます。
【 冬季オリンピックの巻】
北京2020
本当にありがとうございました
Facebook Team JAPANさん曰く
北京五輪閉幕に際しての談話
Facebook 時事通信社さん曰く
ノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅(クラレ)が20日、北京五輪閉幕に際しての談話を日本オリンピック委員会(JOC)を通じて発表し、「応援してくださる全ての方々を失望させる結果になったが、選手やチーム同士、関係者、たくさんの方々が純粋に喜び合えるスキージャンプという素晴らしい競技の場に立つために、現状を鑑みて前進していきたい」と前向きにコメントした。
高梨は5日の個人ノーマルヒルで4位。7日の混合団体は1回目にスーツの規定違反で失格し、日本は4位となった。謝罪のコメントを記したインスタグラムの投稿には、多くの励ましの返信が寄せられた。
高梨は「最後の最後まで支え続けてくれたチームメートとスタッフの方々、温かく優しい言葉で励ましてくれた各国・地域の選手・スタッフ、皆さんに本当に助けられた」と感謝の意を示した。
ジャンプ女子のワールドカップ(W杯)は25日にオーストリアで再開する。 (時事)
こうした話が美談として語る必要のない“環境整備”が必要だ!!
昨夜閉幕した北京オリンピック。日本は金メダル3個、銀メダル6個、銅メダル9個と冬季オリンピック史上最多となる18個ものメダルを獲得した。2大会連続での記録更新となった。
ただ、夏のオリンピック競技に比べて、冬季競技は厳しい競技環境にある。用具や練習、遠征にかかる費用も高額だ。選手たちの活躍は、家族の支えがあってこそだった。日本女子史上最多となるメダル7個を獲得した高木美帆、その姉で今回、銀メダルを獲得した菜那の姉妹も例外ではない。平昌五輪の際、高木姉妹の家族たちのサポートを報じた記事を再公開する。(初出:週刊文春 2018年3月8日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
高木姉妹を支え続けた「両親の献身」
活躍は両親の献身なしには考えられないと、一家の知人は語る。
「父の愛徳(よしのり)さんは会社勤め、母の美佐子さんも美帆ちゃんが幼稚園の頃に新聞販売店の託児所に預けて、新聞配達を始めました。スーパーのレジ打ちと掛け持ちしている時期も長かった。お兄さんも含めて子ども三人がスケートをやっていましたから、走るように歩く、いつもそんな感じで忙しそうでした。でも笑顔を絶やさない素敵な人なんです」
子供たちも中学に上がると母の新聞配達を手伝った。
「早朝に新聞を配って、それからトレーニングを兼ねて高校まで自転車で通っていました。お正月はお父さんも一緒になって配っていましたよ」(近所の人)
妹の美帆は中学生でバンクーバー五輪出場を果たし、注目を集めたが、決して天狗になることはなかった。姉妹が小学生の頃から通った「高橋まんじゅう屋」の高橋美哉さんが語る。
「美帆ちゃんが高校三年生の夏休みですね。私が体調悪くしていたら、『三日間オフがあるから、何かお手伝いできることありますか?』って。お金ほしいとかそういうことじゃなくてね。働いていても、常に目が動いてて、他の人の動きを見て判断してる。美帆ちゃんの場合は一個言ったら十わかる。普通の子なら一カ月かかるような仕事を三日ですぐ覚えて。計算も一度も間違えなかった」
姉の菜那は高校卒業後、スピードスケートの名門・日本電産サンキョーに就職した。帰省した際、家族ぐるみで交流のあった「竹葉寿司」に一家で出かけた。
「もう胸いっぱいという感じで、お鮨も喉通らない(笑)」
「菜那ちゃんが食べる前に『今日は私が払うから』って言ったもんだから、お父さんはもう胸いっぱいという感じで、お鮨も喉通らないみたいだったね(笑)」(店主の杉山雪男さん)
姉妹がスケートを始めるきっかけを作った兄の大輔さんは語る。
「スケートってすごくお金かかる競技なので、両親は大変な思いをしたと思います。前々から両親にメダルをかけたい、いろんな方に恩返ししたいって言っていました」
娘たちの快挙達成を、母の美佐子さんは笑顔でこう振り返る。
「お金の苦労はですね、確かにありました(笑)。でもそれを苦労だと思ったことは、一度もないんです」
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年3月8日号)