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逸品の世界

ちょっと気になる逸品の世界

細川家、おばあさまの着物 とぎれた記憶を辿るもの

2022-11-02
[初出『婦人画報』2013年5月号 ]
2011年に見つけられた元首相 細川護熙氏の母の着物から繙く家族の物語

2011年、細川家の古倉庫から、8枚の女性の着物が発見されました。元首相の細川護熙氏の実のお母様、細川温子(よしこ)さまの着物です。23歳で早世した温子さまについて、記録はほとんどありません。遺された着物から、ひとりの女性の人生を辿る物語が生まれます。

<写真>細川佳代子さんがお召しの黒留袖には、細川家の「九曜紋」があり、牡丹と扇子を獅子に見立てた能の「石橋(しゃっきょう)」のイメージで刺繡がほどこされている。昭和初期、まだ能狂言に親しむ人は少ない時代だった。着物には、主の特別な出身や素養が薫りたつ。お嬢様の裕子さんがお召しの「立浪に滝壺」の大振袖[*12]は迫力ある金の刺繡ゆえ、式典などで「立ち続ける」シーンを想定して誂えられたものか。


孫にあたる裕子さんが、おばあさまについて知りたいと思うとき、唯一手がかりになるのは「着物」でした。現代の“着物の目利き三人衆”が、細川温子さんの生きた時代や人柄、暮らしぶりを探ります。


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