逸品の世界
ちょっと気になる逸品の世界
「わんわん物語」のレディとトランプです。
晴れ着
11月22日、天皇皇后両陛下は、皇居・宮殿「松風の間」で、2022年度の文化功労者と面会された。
この日、集まったのは、シンガー・ソングライターの松任谷由実や、棋士の加藤一二三氏ら17人。天皇陛下は、「皆さんが努力を重ね、学術、文化、芸術、スポーツの分野で大きな成果を収められたことを、喜ばしく思います」と、お祝いの言葉を述べられた。
その後、両陛下は集まったひとりひとりと懇談。天皇陛下は、松任谷の代表曲『卒業写真』にふれられ、どういったときに楽曲のアイディアが浮かぶか、などを質問されたという。松任谷がデビュー50周年という節目であることをうけ、皇后陛下は「おめでとうございます。お元気でご活躍ください」と、声をかけられた。
さらに「ひふみん」の愛称で知られる加藤氏が、将棋界について「優秀な若手(棋士)がいっぱい出てきていて、ありがたく思います」と話すと、天皇陛下は「藤井聡太さん、はじめね。楽しみですね」と返されたという。
「天皇陛下は音楽がお好きで、1986年には、歌手・柏原芳恵さんのコンサートを鑑賞される姿が話題になったこともありました。松任谷さんも柏原さんと同時代に活躍してきましたから、陛下が『卒業写真』などの楽曲をご存知なことは不思議ではありません。
また、陛下が藤井聡太さんの活躍にまで注目されていたことに、SNSでは驚く反応が多数、寄せられていました。象徴という立場にありながら、つねに国民目線で寄り添われる、陛下らしいお声がけといえます」(皇室担当記者)
細川家、おばあさまの着物 とぎれた記憶を辿るもの
2011年、細川家の古倉庫から、8枚の女性の着物が発見されました。元首相の細川護熙氏の実のお母様、細川温子(よしこ)さまの着物です。23歳で早世した温子さまについて、記録はほとんどありません。遺された着物から、ひとりの女性の人生を辿る物語が生まれます。
<写真>細川佳代子さんがお召しの黒留袖には、細川家の「九曜紋」があり、牡丹と扇子を獅子に見立てた能の「石橋(しゃっきょう)」のイメージで刺繡がほどこされている。昭和初期、まだ能狂言に親しむ人は少ない時代だった。着物には、主の特別な出身や素養が薫りたつ。お嬢様の裕子さんがお召しの「立浪に滝壺」の大振袖[*12]は迫力ある金の刺繡ゆえ、式典などで「立ち続ける」シーンを想定して誂えられたものか。
孫にあたる裕子さんが、おばあさまについて知りたいと思うとき、唯一手がかりになるのは「着物」でした。現代の“着物の目利き三人衆”が、細川温子さんの生きた時代や人柄、暮らしぶりを探ります。