ファイトの系譜
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「自分のピッチングができてきている」
【ロサンゼルス=帯津智昭】米大リーグ・ドジャースの山本由伸は7日(日本時間8日)、本拠地ロサンゼルスでのマーリンズ戦に先発し、メジャー自己最長の8回を5安打2失点、無四球の好投を見せ、自身3連勝で4勝目(1敗)を挙げた。2番指名打者で出場した大谷翔平は2打数無安打、2四球。試合は8―2で、ドジャースは6連勝を飾った。
ドジャースタジアムで初勝利となり、山本は「すごくうれしく思うし、長いイニングを投げられたので、そこが一番良かった」と振り返った。
制球が抜群で、ストライク先行で攻めた。一回から二回にかけて19球連続でストライク。八回までの全97球のうち、75%にあたる73球がストライクだった。「しっかり自分のピッチングができてきているところは、すごく自信になる」。2本のソロ本塁打を許したものの、大量得点の援護もあり、危なげなかった。
「これはもう勝てないでしょう」井上尚弥、1回に“衝撃のダウン”も6回KO勝利
◆パンチの振りが大きい…力んでいる
確かに井上尚も人の子だった。これまで「モンスター」の異名通り、リング上で一切の隙をみせず、冷静に闘い、圧倒的な強さを誇ってきた。だが、入場時から明らかに気合が入りすぎている。東京ドームのチケットは完売し、超満員となる4万3000人が駆けつけた。観客で埋め尽くされた景色がよほどうれしく、高揚していたのだろう。
ゴングが鳴る。井上尚が放つパンチの振りが大きい。いつもより力んでいる。試合のピークがいきなりやってきた。開始1分40秒。接近戦で井上が左アッパーから右フックを放とうとした瞬間、ネリが顔面への左フック。被弾した井上尚が倒れた。プロ・アマを通じて初のダウンだ。
「(連勝が)止まっちゃう。こういう最後か…」
セコンドの大橋秀行会長の頭に一瞬、敗戦がよぎった。まだ体が温まっていない試合早々にパンチを食らい、リングに沈んでいった数々のボクサーを見てきたからだ。
「1ラウンドのパンチは思っている以上に効くんだよ。タイミングで倒されたのではなく、ネリは左をフルスイングしていた。尚弥は相当ダメージがあったと思う」
大橋会長だけではない。リングサイドで見ていた井上尚の弟・拓真も目を疑った。
「心臓が止まるんじゃないか、というくらい焦った」
◆まさか…東京ドーム4万人から悲鳴
井上尚がリング上を転がった。会場は悲鳴に包まれる。誰もが目の前の光景を信じられない。ドームにいる4万人超の中で唯一冷静だったのが井上尚だった。
非常事態に驚いたような表情を見せながら、キャンバスに片膝をつき、レフェリーが「カウント8」を数えるまでゆっくり休んだ。
生涯初のダウンでパニックになってもおかしくない。焦ってすぐに立とうとして、足元がふらついたところをレフェリーに止められる選手も多い。
大橋会長が感心した口調で言った。
「やっぱりさ、倒されたら人はすぐに立とうとするんだよ。でも尚弥は(カウント)ギリギリまで休んで、ベテランみたいだったね」
井上尚はその場面を振り返って、言った。