美味求真
美味求真【食事】
コロッケそばについて
柳家喬太郎師匠に「コロッケそば」という根多がある。じつは「時そば」の枕に駅の立ち食いのコロッケそばの話をふるのだが、そこが人々の心を打つためか、「コロッケそば」の名で通じている。
このねたを聞くずっと前に、初めて東京に行ったとき、駅のホームの立ち食いそばで、真っ黒なお出汁におどろき、となりのリーマンがすする、コロッケそばに二度びっくりした記憶がある。別の上京の機会にコロッケそばに挑んだことがあるが、あのくずれたコロッケが濃い醤油のおつゆによく合うもんだなあ~と思ったのを、思い出す。うん、今晩はコロッケを買ってきてコロッケそばにしようwww
このまくらで、駅の立ち食いそばのはなしを振り、「コロッケそば」について熱く語るのだが、このくだり、本題よりもなんども聴きたくなる。
立ち食いそばには、コロッケそばという絶妙なメニューがあるが、のせられるコロッケは、お肉屋さんの揚げたてのうまいコロッケとか、お母さんが作ってくれる玉ねぎや、じゃがいもの味がしっかりしたコロッケなどという上等のコロッケは、そばには合わない。
安い冷凍食品の中身は芋ではなく粉をねったものをパン粉をつけて揚げられた「コロッケの形はしています!」というようなもの。
しかし、このコロッケたちも、自分がコロッケであることは認識しているから、
「ソースたっぷりでパンにはさまれて食べられたい」
「お醤油かけて、ごはんのおかずになりたい」
「そのまま、なにもかけずに食べられたい」
「おれは、ビールのおつまみがいい」
などと、いろいろ語り合っているが、そのうちの一つが菜箸につままれて持ち上げられる…
「あ!おれ、先にたべられてくるね~」
「うん、おいしく食べられてきてね~」
「おいしく食べられてくるよ~
ごはんかな?パンかな~?…
うそ!?そば?!」
コロッケたちはそばに載せられるなんて発想は持っていない。
「やめて、やめて、せっかく衣つけてあげられてきたのに~~~」