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日本国自衛隊

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緊迫の“台湾有事シミュレーション”自衛隊の対応決める「事態認定」疑似政府の決断は(2022年8月7日)

2022-08-08
2022/08/08  中国軍が台湾を取り囲むように大規模な軍事演習を始めて7日で4日目です。 弾道ミサイル5発が日本のEEZ(排他的経済水域内)に落下し、日中の緊張も高まる中、懸念が強まっている台湾有事。 その時、日本はどう対応するのでしょうか。 
▽“台湾包囲”中国軍の軍事演習4日目 7日、最終日の4日目を迎えた中国軍の軍事演習。 中国軍は3日から台湾を包囲する形で実弾演習を続けていて空母や原子力潜水艦も参加。戦闘機や艦船が連日、中間線を越えて台湾側に進入しています。 (中国軍 孟祥青 少将)「これまでに起きた台湾海峡危機で今回の軍事演習は最も規模が大きく、最も力が入った抑止力のある演習です。アメリカのイージス艦の目と鼻の先で、正確な打撃を実現させました」 現職のアメリカ下院議長の台湾訪問に反発した中国はペロシ氏への制裁を発表。軍の高官協議のキャンセルなどの対抗措置も決め、アメリカとの対立が深まっています。
 ▽「台湾有事」に備え元防衛大臣ら白熱議論 (安西陽太 記者) 「現在こちらの会場では台湾有事などを想定したシミュレーションが2日間にわたって行われています」 台湾の状況がより切迫したとき日本はどう対応するのでしょうか? (岩田清文 元陸上幕僚長)「これより日本戦略研究フォーラム主催によります第2回台湾政策シミュレーションを実施いたします」 参加したのは小野寺元防衛大臣ら元政府高官や自衛隊の元幹部。それぞれ「疑似政府」の一員として、総理大臣や官房長官、統合幕僚長らの役割を担います。 シミュレーションは2027年8月、中国が台湾の北側に演習区域を設定して実弾射撃を開始し、米中の緊張が高まる事態を想定。さらに尖閣諸島周辺に、武装したとみられる約200隻の漁船が押し寄せたという架空のシナリオに基づいて行われました。 海上保安庁を所管する国土交通大臣役は… (国土交通大臣役 細野豪志議員) 「民兵も含まれている可能性が高いということ、海上保安庁としてのキャパをすでに超えますので、防衛大臣として最大限の排除、さらには現状に対する理解を強く要請をしていきたい」 (防衛大臣役 大塚拓議員) 「自衛隊が準備するのに最低72時間必要であります。ただちに指示をいただきたいと思います」 中国側が尖閣諸島に侵攻する動きを見せたら、先んじて自衛隊が上陸する作戦の検討をしていたところ、次のシナリオが… 9月7日、中国漁船団が海上保安庁の巡視船と衝突。その隙に武装したとみられる漁民が尖閣諸島に上陸してしまいます。 さらには中国が台湾に対して一斉にミサイル攻撃。「台湾有事」と「尖閣諸島防衛」が同時発生し、緊張が一気に高まります。 (官房長官役 木原稔議員) 「まず台湾有事が発生ということで頭を切り替えてもらいます。台湾と尖閣の複合事態というふうに認識をいたします」 (国家安全保障局長役 兼原信克 元次長) 「台湾攻撃もう始まっておりますので、存立危機事態が認定するという方向で議論しようと思っています」 安全保障関連法では、政府がその時の事態をどのレベルと認定するかで自衛隊のとれる行動が変わってきます。今回は、日本が武力攻撃を受けていなくても密接な関係にある他国が受けた場合、アメリカなどの後方支援ができる「存立危機事態」と認定しました。 
▽“尖閣防衛”も同時に…日米連携は すると、日本の外務大臣役の下にアメリカ政府からのメッセージが… (アメリカ国務・国防長官役 長島昭久議員) 「『2プラス2』OKだから。かなり緊迫しているから』 外交と防衛担当の閣僚が会談する「2プラス2」。日本側は台湾でアメリカを後方支援する代わりに、尖閣諸島も共同で対処するようアメリカに求めました。しかし、会談後、日本側からの要求を伝えられた大統領は… (アメリカ大統領役 ケビン・メア元米国務省日本部長) 「アメリカにとって台湾が優先だから余裕があれば、」 アメリカ側の関与を確実なものにしたい日本。アメリカの防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用を求め首脳会談に臨みました。 (総理大臣役 小野寺五典議員) 「今回の尖閣での防衛事案は安保の5条適用の範囲で日米が一緒にやるということでよろしいですね?」 (アメリカ大統領役 ケビン・メア元米国務省日本部長) 「中国から尖閣諸島に対する攻撃は日本に対する攻撃である。台湾と尖閣諸島はセットだ」 “自衛隊の動き”カギ握る「事態認定」 一方、ここで問題となったのは漁民が上陸した尖閣諸島が「武力攻撃を受けた」と言えるかどうかです。その事態に認定できれば、速やかな自衛隊の移動や物資の輸送が可能になります。 (防衛大臣役 大塚拓議員)「現場からはですね、一刻も早く武力攻撃事態認定をしていただきたいと」 (国家安全保障局長役 兼原信克 元次長)「移動はできるはずですから、沖縄まで向かっていただきたい」 防衛大臣役「向かってます」 「向かって船が着く前には閣議決定できるようにはしますので、政府が動かないから軍(自衛隊)が動かないということはあり得ないと思います」 しかし、自衛隊が到着する前に… (国土交通大臣役 細野豪志議員) 「先ほど報告が参りまして、海上保安庁の死傷者5名、沖縄県警国境離島警備隊から複数の死者が出ているという報告がありました」 (総理大臣役 小野寺五典議員) 「犠牲者が出たということに改めて深く思いをはせ、また、ご家族ご遺族には心からお見舞いお悔やみを申し上げたいと思っております」 総理大臣役を務めた小野寺元防衛大臣は、犠牲者が出た背景には、政府による「事態認定の難しさ」があったといいます。 (総理大臣役 小野寺五典元防衛大臣)「一番大きいのは、相手が偽装漁民ということで、これが武器を持って日本の領土を取りに来たかどうかということを判断しないと、武力攻撃事態として対応できないわけです。これはもうこのままいくと武力攻撃事態になるぞという時には、事前に展開できるような、そういう考え方も必要かなと思います」 ▽台湾有事は「日本の有事に波及する」 ペロシ下院議長の台湾訪問をきっかけに対立が深まるアメリカと中国。中国は27年ぶりに台湾に向けて弾道ミサイルを発射。9発のうち5発が日本のEEZ内に初めて落下するなど、実際に緊張が高まっている中で今回のシミュレーションは行われました。 「台湾を攻撃している。(台湾の人は)早く逃げないと」 (総理大臣役 小野寺五典議員) 「よりこのシミュレーションが現実味を帯びて、その緊迫感が今日のシミュレーションの中にはあったかと思います。言ってみれば台湾有事はこういう形で日本の有事に波及するということが、今回のシナリオの中では明確になったんじゃないかと思います」
 8月7日『サンデーステーション』より
 [テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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