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逸品の世界

ちょっと気になる逸品の世界

陰翳礼讃

2025-03-29

陰翳礼讃』(いんえいらいさん)は、谷崎潤一郎の古典回帰時代の随想的評論

日本文化西洋文化の不調和を嘆き、それでも成される欧米化に対する「」の意識をあらわにしている。まだ電灯がなかった時代の今日と違った日本感覚生活自然とが一体化し、真に風雅の骨髄を知っていた日本人芸術的な感性について論じ、東西の文化比較芸能生活における陰翳の美との関係などを通し、失われつつある陰翳への礼賛を文学で実践したいと表明した。

陰翳礼讃 谷崎潤一郎

今日、普請道楽の人が純日本風の家屋を建てて住まおうとすると、電気や瓦斯ガスや水道等の取附け方に苦心を払い、何とかしてそれらの施設が日本座敷と調和するように工夫を凝らす風があるのは、自分で家を建てた経験のない者でも、待合料理屋旅館等の座敷へ這入ってみれば常に気が付くことであろう。独りよがりの茶人などが科学文明の恩沢を度外視して、辺鄙な田舎にでも草庵を営むなら格別、いやしくも相当の家族を擁して都会に住居する以上、いくら日本風にするからと云って、近代生活に必要な煖房や照明や衛生の設備を斥ける訳には行かない。で、凝り性の人は電話一つ取り附けるにも頭を悩まして、梯子段の裏とか、廊下の隅とか、出来るだけ目障りにならない場所に持って行く。その他庭の電線は地下線にし、部屋のスイッチは押入れや地袋の中に隠し、コードは屏風びょうぶの蔭を這わす等、いろ/\考えた揚句、中には神経質に作為をし過ぎて、却ってうるさく感ぜられるような場合もある。実際電燈などはもうわれ/\の眼の方が馴れッこになってしまっているから、なまじなことをするよりは、あの在来の乳白ガラスの浅いシェードを附けて、球をムキ出しに見せて置く方が、自然で、素朴な気持もする。夕方、汽車の窓などから田舎の景色を眺めている時、茅葺きの百姓家の障子の蔭に、今では時代おくれのしたあの浅いシェードを附けた電球がぽつんと燈っているのを見ると、風流にさえ思えるのである。しかし煽風器などと云うものになると、あの音響と云い形態と云い、未だに日本座敷とは調和しにくい。それも普通の家庭なら、イヤなら使わないでも済むが、夏向き、客商売の家などでは、主人の趣味にばかり媚びる訳に行かない。私の友人の偕楽園主人は随分普請に凝る方であるが、煽風器を嫌って久しい間客間に取り附けずにいたところ、毎年夏になると客から苦情が出るために、結局我を折って使うようになってしまった。かく云う私なぞも、先年身分不相応な大金を投じて家を建てた時、それに似たような経験を持っているが、細かい建具や器具の末まで気にし出したら、種々な困難に行きあたる。たとえば障子一枚にしても、趣味から云えばガラスを篏めたくないけれども、そうかと云って、徹底的に紙ばかりを使おうとすれば、採光や戸締まり等の点で差支えが起る。よんどころなく内側を紙貼りにして、外側をガラス張りにする。そうするためには表と裏と桟を二重にする必要があり、従って費用もかさむのであるが、さてそんなにまでしてみても、外から見ればたゞのガラス戸であり、内から見れば紙のうしろにガラスがあるので、やはり本当の紙障子のようなふっくらした柔かみがなく、イヤ味なものになりがちである。そのくらいならたゞのガラス戸にした方がよかったと、やっとその時に後悔するが、他人の場合は笑えても、自分の場合は、そこまでやってみないことには中々あきらめが付きにくい。近来電燈の器具などは、行燈式のもの、提燈式のもの、八方式のもの、燭台式のもの等、日本座敷に調和するものがいろ/\売り出されているが、私はそれでも気に入らないで、昔の石油ランプや有明行燈や枕行燈を古道具屋から捜して来て、それへ電球を取り附けたりした。分けても苦心したのは煖房の設計であった。と云うのは、およそストーヴと名のつくもので日本座敷に調和するような形態のものは一つもない。その上瓦斯ガスストーヴはぼう/\燃える音がするし、また煙突でも付けないことにはじきに頭痛がして来るし、そう云う点では理想的だと云われる電気ストーヴにしても、形態の面白くないことは同様である。電車で使っているようなヒーターを地袋の中へ取り附けるのは一策だけれども、やはり赤い火が見えないと、冬らしい気分にならないし、家族の団欒にも不便である。私はいろ/\智慧を絞って、百姓家にあるような大きな炉を造り、中へ電気炭を仕込んでみたが、これは湯を沸かすにも部屋を温めるにも都合がよく、費用が嵩むと云う点を除けば、様式としてはまず成功の部類であった。で、煖房の方はそれでどうやら巧く行くけれども、次に困るのは、浴室とかわやである。偕楽園主人は浴槽や流しにタイルを張ることを嫌がって、お客用の風呂場を純然たる木造にしているが、経済や実用の点からは、タイルの方が万々優っていることは云うまでもない。たゞ、天井、柱、羽目板等に結構な日本材を使った場合、一部分をあのケバケバしいタイルにしては、いかにも全体との映りが悪い。出来たてのうちはまだいゝが、追い/\年数が経って、板や柱に木目もくめの味が出て来た時分、タイルばかりが白くつる/\に光っていられたら、それこそ木に竹を接いだようである。でも浴室は、趣味のために実用の方を幾分犠牲に供しても済むけれども、厠になると、一層厄介な問題が起るのである。

高岡の梵鐘

2025-03-24
菩提寺の鐘の鋳造式
梵鐘の初吹き(2020/01/08放送)
二上山の「平和の鐘」鳴らしてみた
梵鐘の製法。70年の歴史を持つ韓国の伝統的な鐘工場

彦根仏壇の伝統「絶やさない」

2025-03-24
仏壇職人の技を生かした五月人形のかぶとを示す井上昌一さん=2025年3月17日午前、滋賀県彦根市、小西良昭撮影 © 朝日新聞社
職人技生かし、五月人形のかぶと作る

滋賀県彦根市の伝統産業である彦根仏壇の職人技を生かした五月人形のかぶとができあがった。井上仏壇(同市芹中町)の井上昌一社長(57)が発表した。

仏壇職人の技を生かした五月人形のかぶと

 彦根仏壇は武具、武器を作っていた塗師、指物師ら職人が、平和になった江戸時代中期に仏壇作りへ転じたのが始まりとされる。

 彦根仏壇事業協同組合理事長の井上さんによると、彦根仏壇は国の伝統的工芸品で、幅120センチ、高さ175センチほどの大型だ。木地、彫刻、錺(かざり)金具、漆塗り、蒔絵(まきえ)、金箔(きんぱく)押しなどの技法を施し、手作りで豪華な仕上がりだ。

 ただ、置くのに1畳分はいるため、和室が減り、仏間がない住宅の間取りや生活の洋風化で、15年以上前から需要が減っている。小型の家具調仏壇に変わってきている。

 組合員の生産額は最盛期の5分の1ほどに。組合員も減り、職人の高齢化も進む。

 技を絶やさないように、井上さんはコーヒーカップや時計ケースなど仏壇以外の商品も、開発する。

 今回、知人から「息子のために五月人形のかぶとを作って」と頼まれた。ヒノキを使い、幅26センチ、奥行き17センチ、高さ21センチで、約10カ月かけて仕上げた。井上さんは「伝統産業の技を継承するため、新しい商品を開発したい」と話す。

 税込み55万円。井上仏壇(0749・22・1587)へ。(小西良昭)

加賀てまり

2025-03-22

yes!横綱土俵入り! 豊昇龍が高須クリニックから贈呈の三つぞろいで雲竜型披露 「場所に間に合った」

2025-03-22
高須クリニックの高須克弥院長から贈呈された新しい三つぞろい
 大相撲春場所(9日初日・エディオンアリーナ大阪)を前に、新横綱・豊昇龍(立浪)が1日、大阪・住吉区の住吉大社で奉納土俵入りした。高須クリニック高須克弥院長から贈呈された新しい三つぞろいを初めてつけ、太刀持ちに平戸海(境川)、露払いに明生(立浪)を従えた。

yes!高須クリニック!」高須院長が豊昇龍の朝青龍超え大横綱期待「土俵際の粘りがすごい」「お肉を食べさせた時の笑顔なんか最高」



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