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彦根仏壇の伝統「絶やさない」

2025-03-24
仏壇職人の技を生かした五月人形のかぶとを示す井上昌一さん=2025年3月17日午前、滋賀県彦根市、小西良昭撮影 © 朝日新聞社
職人技生かし、五月人形のかぶと作る

滋賀県彦根市の伝統産業である彦根仏壇の職人技を生かした五月人形のかぶとができあがった。井上仏壇(同市芹中町)の井上昌一社長(57)が発表した。

仏壇職人の技を生かした五月人形のかぶと

 彦根仏壇は武具、武器を作っていた塗師、指物師ら職人が、平和になった江戸時代中期に仏壇作りへ転じたのが始まりとされる。

 彦根仏壇事業協同組合理事長の井上さんによると、彦根仏壇は国の伝統的工芸品で、幅120センチ、高さ175センチほどの大型だ。木地、彫刻、錺(かざり)金具、漆塗り、蒔絵(まきえ)、金箔(きんぱく)押しなどの技法を施し、手作りで豪華な仕上がりだ。

 ただ、置くのに1畳分はいるため、和室が減り、仏間がない住宅の間取りや生活の洋風化で、15年以上前から需要が減っている。小型の家具調仏壇に変わってきている。

 組合員の生産額は最盛期の5分の1ほどに。組合員も減り、職人の高齢化も進む。

 技を絶やさないように、井上さんはコーヒーカップや時計ケースなど仏壇以外の商品も、開発する。

 今回、知人から「息子のために五月人形のかぶとを作って」と頼まれた。ヒノキを使い、幅26センチ、奥行き17センチ、高さ21センチで、約10カ月かけて仕上げた。井上さんは「伝統産業の技を継承するため、新しい商品を開発したい」と話す。

 税込み55万円。井上仏壇(0749・22・1587)へ。(小西良昭)

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