再生の道程
背番号10の挑戦
ライデル・マルティネスと“初バッテリー”
巨人の甲斐拓也捕手が12日、ライデル・マルティネス投手と初めて“バッテリー”を組んだ。
宮崎キャンプで2度目のブルペンに入った助っ人の球を座った状態で受け、フォークなどの変化球を交えて35球。投球練習終了後には、約5分間にわたって球種の確認などを行った。昨季まで中日で166セーブをマークした守護神のボールについて「うわさ以上の投手だな、と。(フォークも)すごいですよ」と印象を語った。
「甲斐拓也はこうなんだというのも伝えている」
宮崎キャンプ第2クール最終日の9日、サンマリンスタジアム宮崎で行われたシート打撃が行われた。先発候補で日本ハムから現役ドラフトで加入した田中瑛、2年目左腕の又木が好投。阿部慎之助監督(45)は「こっちがなんかいろいろ迷っちゃうな」とうれしい悲鳴だ。
※ ※ ※
―第2クール終了。
「実戦形式も始まっていいクールだった」
―寒い日が続いた。
「けが人が出なかったのでね。それが全てで」
―ブルペンで甲斐が積極的に投手と交流。
「安心感がある。自分のことも知ってもらおう、甲斐拓也はこうなんだというのもちゃんと伝えているように見える。バッテリーってそれが永遠のテーマなので。続けていってほしい。学ぶ姿勢も素晴らしい」
―ブルペンで赤星に助言。
「いや普通すぎるんで。なんか特徴ないとダメなんじゃないって。オーソドックスすぎるって言って。例えば普通に投げている中でタイミングをちょっとずらせるようなモーションができるようになればいいよねとか。振りかぶりました、足上げました、投げました。そういうイメージにしか見えないから。ちょっとでも工夫すれば抑えられるんじゃないかなと思って」
巨人・田中将大は「セ・リーグの方が合ってる」それを引き出せるのは…
ヤクルトやソフトバンク、メジャーでも活躍した五十嵐亮太氏(45)が9日放送のTBSラジオ「SPORTS BULL presents 石橋貴明のGATE7」(日曜前7・00)にゲスト出演。巨人の注目バッテリーを挙げた。
五十嵐氏はセ・リーグの見所に巨人を挙げ、「田中(将大)投手、マー君が通算200勝達成するのも見たい」と明かした。
田中の復活に心強いのが、ソフトバンクからFA新加入した甲斐拓也捕手の存在だという。
「甲斐は田中投手のいいところ、そうじゃないところ、敵チームにいて分かってるので、どうリードするのか」と楽天とソフトバンクで敵味方だった2人がバッテリーを組むことに興味津々だった。
五十嵐氏は「田中投手はパ・リーグよりセ・リーグの方が合っていると思う」と指摘した。
その理由として、変化球の割合が多いことを挙げ、うまく配球して変化球を使っていけば「普通に勝てる」と主張した。
そして、「それを引き出すのが(甲斐)拓也の仕事なんですよね」と、説明した。
日増しに高まる存在感
◇8日 巨人春季キャンプ(宮崎)
ソフトバンクからFA移籍した巨人・甲斐拓也捕手(32)の存在感が、日に日に増している。
第2クール3日目を迎えて、新天地の環境にも「慣れてきた」。1カ所で行われた打撃練習ではキャッチャーミットで二塁を守り、好守備を後輩に大声でイジられるなど、周囲ともすっかり打ち解けた様子だ。
特に目立つのが、ブルペンで投手と積極的に語り合う姿だ。前日にはエース格の戸郷の投球を受けてから約20分も話し込んだが、「絶対に必要な時間なので」と事もなげに語った。投手との相互理解を深めようと、寸暇を惜しんで動いている。
捕手出身の阿部慎之助監督(45)も「チームにとって一番大事な安心感を兼ね備えているキャッチャー」と絶大な信頼を置く。チームの頭脳となる甲斐がチームになじめばなじむほど、リーグ連覇が近づいてくる。
【巨人】甲斐拓也「背番号10に見合うように」
ソフトバンクからFA加入した巨人甲斐拓也捕手(32)が「序章」に入った。
宮崎春季キャンプ初日の1日、ブルペンで新チームメートの投球を受けた。石川、横川、京本と“初バッテリー”を組み「いやあ、初日終わったなっていう感じです。まだまだ。もう本当にたくさんあるなっていう感じはありますけど」と投手の特長をインプット。シーズン中の配球に至るまでの多岐にわたる分析に着手した。
【巨人】甲斐拓也「背番号10に見合うように」初日からブルペンで投球受け投手の特長インプット
投手交代の合間には阿部監督と話し込むシーンもあった。内容については「まあ、ピッチャーの話ですね」とだけ明かし、阿部監督も「ちょっと戦術的な話なので」と話すにとどめた。背番号10のユニホーム姿には「まだ初日なので自分ではわからないですけど、周りの方がそういうのたくさん言っていただけるんで。それに見合うように頑張りたいなと思います」と指揮官であり大捕手からの代名詞を引き継ぐ。
捕手はグラウンド上の監督としての役割を求められる。甲斐にとっては新天地かつ新指揮官の下でのプレーとなり「阿部監督の野球をしっかり理解するということが大事だと思います」と話した。開幕に向けて甲斐の“脳内”が本格始動した。【為田聡史】
巨人捕手戦争の行方に異変あり…他球団スコアラー指摘「甲斐は絶対的な存在じゃない」「固定ならむしろラッキー」
FAでソフトバンクから巨人に移籍した甲斐拓也(32)が精力的だ。
昨3日の宮崎キャンプでは、午前中に3日連続でブルペン入り。複数の投手の球を受けると、午後の打撃練習では、メイン球場でサク越えを放つなど、新天地で存在感をアピールした。
阿部慎之助監督(45)も目を細めている。この日の練習後に行われたフリーアナウンサー徳光和夫氏とのトークショーで「素晴らしい補強をしていただいて、こうやって人(ファン)も呼べて、一昔前のジャイアンツに戻れたなっていう感覚。やっぱり、ジャイアンツはこうじゃなきゃいけない。(補強は)賛否両論あるけど、人を集めてなんぼ。原点に戻れたような感じでいます」とした上で、甲斐についてこう言った。
「彼は日本を代表する捕手。一番は安心感、チームに与える安心感は絶大じゃないか」
4年ぶりのリーグ優勝を果たした昨季は捕手を3人のローテーションで回したが、先週末に放送されたテレビ番組では、「捕手は固定? そうですね。だからこそ甲斐の獲得に動いてもらった。高いお金を出して、FAでせっかく来てくれたんで」と、正捕手決定という口ぶりだった。
甲斐とは5年15億円の大型契約を結んでいる。昨季チーム最多の72試合でスタメンマスクをかぶった岸田行倫(28)、強打の大城卓三(31)、経験豊富な小林誠司(35)との競争は建前か。
実松一成バッテリーコーチ(44)に聞くと、「いやいや、そんなことはありません」と、こう続けた。
「甲斐の良さはリード面とか捕球技術とかいろいろありますが、ソフトバンク時代に何度も優勝している経験からくる安心感というか、どっしりしているところ。でも、卓三だって何度か優勝しているし、昨年は岸田も経験した。経験値でいったら誠司だって負けていない。(一軍スタートの)若い山瀬(慎之助=23)も含め、みんなが持ち味を出してくれれば、誰が試合でマスクをかぶるか分かりませんよ。いい競争になるはずです」
バッテリーコーチという立場上、「甲斐で決まり」なんて言えないだろうが、生え抜きの捕手勢も決して負けていないと強調。実際、キャンプを視察する他球団のスコアラーはこう言っている。
「阿部監督は捕手はどう使うんですかね? 甲斐は絶対的な存在じゃないでしょう? 打撃力を比べれば大城の方がだいぶ上だし、総合的には岸田もいい。甲斐キャノンと強肩がクローズアップされますけど、最近は盗塁阻止率が落ちている。昨季の阻止率は岸田が.475でセの1位だったのに対し、甲斐は.284でパの5位だった。昨年は岸田がだいぶ成長し、うちの監督は警戒していました。阿部監督が甲斐の起用にこだわってくれたら、かえってラッキーかもしれない」
確かに甲斐の盗塁阻止率は.452でリーグトップだった2021年を最後に、22年は.343で同2位、23年は.329で同3位、昨季はさらに悪化している。
いざフタを開けてみたら、今年も捕手併用の可能性もありそうだ。