競走編
駅伝
復活の区間新の舞台裏
第101回箱根駅伝、復路7区のスタート前――。
駒澤大の佐藤圭汰(3年)は、同じ区間を走る中央大の岡田開成(1年)と親しげに短く言葉を交わしていた。ともに洛南高校出身で佐藤が2学年上の先輩。お互いの健闘を誓い合ったのだろう。
佐藤は、18秒先にタスキをもらった岡田に5km手前で追いつくと、徐々にその差を広げていった。前を行く青山学院大を懸命に追い、中継所で4分7秒あった差を、12km手前にある二宮の計測ポイントでは3分16秒まで詰めた。運営管理車にいた藤田敦史監督は7区起用がハマったと感じたという。
「最初、(3区を走った)谷中(晴、1年)の調子がそれほど良くないのもあり、圭汰を3区、7区のどちらで起用するのか迷ったんです。その際、どちらの区間のほうがアドバンテージを得られるのかを考えました。3区は圭汰でもそれほど差がつかないが、7区なら差がつきますし、復路でもう1回チャンスを作れることになる。谷中も復調したので、戦略的に圭汰を7区に置いたんです」
終わりは始まりなのであります。
第101回箱根駅伝で総合4位に入った早稲田大が4日、新チームを始動させた。優勝13回を誇る名門は、7年ぶりのトップ5入りを果たし、復活間近を印象付ける箱根路となった。この日は午前6時30分から引退する4年生も参加し、全員で円陣を組んだ。
新体制ではエース山口智規(3年)が主将を務め、5区で歴代3位の「山の名探偵」工藤慎作(2年)、3区で区間3位で6人抜きと鮮烈なデビューを飾った山口竣平(1年)ら精鋭がそろう。さらに4月には昨年12月の全国高校駅伝でともに区間賞の鈴木琉胤(八千代松陰)、佐々木哲(佐久長聖)の世代トップクラスが入学するなど、期待が高まる。
就任4季目が始まるに際し、花田勝彦監督は円陣で「新しいスタートは始まっています。新チームの人は今年度、箱根駅伝優勝を目指すために、それぞれが取り組んで欲しい」と激励した。過去2年、新チーム指導の1月4日は言葉にできなかった「優勝」という目標を明確に掲げ、11年大会以来の頂点へ、勝負の1年が始まった。
1月2日・3日に行なわれた第101回箱根駅伝で、早稲田大は10時間50分57秒で総合4位に食い込んだ。目標としていた2018年以来、7年ぶりの3位以内にはあと一歩届かなかったが、いよいよ古豪復活の兆しがみえてきた。
復路3位でスタートした早大は、6区で順位をひとつ落とすも、8区で中央大を逆転。10区を担った菅野雄太(4年)が國學院大・吉田蔵之介(2年)と並走を続けるも、競り負けて10秒遅れでゴールテープを切った。レース後、花田勝彦監督は、悔しさをにじませながらこう語った。
「私自身が3位以内と言いつつも、やはりそこにこだわっていなかったというか...。もっと強い気持ちでやればよかった。自分のなかでは少し甘さがあった。選手に走り方のアドバイスをしたりとか色んなやり方があったと思う。3位以内のチームを作るうえで、学ぶことがたくさんあった」
箱根駅伝 歴代優勝校
2025年1月2~3日にかけて、今年も大学駅伝の最高峰『箱根駅伝』(東京箱根間往復大学駅伝競走)が開催され、前年王者の青山学院大学が再び総合優勝を果たし2年連続8度目の王座に輝いた。
ここでは、これまでに箱根駅伝を制してきた優勝校の歴史についてまとめる。
最多優勝は中央大の14回、青学大は過去11年で8回優勝
2023年大会(第99回大会)は、駒澤大が地力の差を見せつけ、通算8回目の総合優勝を飾った。駒澤大は2023年度も出雲駅伝、全日本大学駅伝の二冠を達成し、2024年箱根駅伝も絶対王者と目されていたが、青山学院大が2年ぶりの優勝を果たし、駒澤大の連覇及び2年連続大学三大駅伝三冠達成を阻止した。青学はさらに、2025年にも2連覇を成し遂げ、これで2015年以降の11年間で8度の優勝という黄金期を持続している。
歴史を振り返ると、過去99回の大会で頂点を極めた経験があるのは17校で、うち最多優勝回数は中央大学の14回である。