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闘いの歴史

闘いの記録 (戦争と人間)

チャップリン『独裁者』の演説

2020-05-20
https://youtu.be/40OfHEPnH6U
I'm sorry.  I don't want to be an emperor.  That's not my business.  I don't want to rule or conquer anyone.  I should like to help everyone if possible.  Jew, Gentile, black men, white.
(申し訳ない。私は皇帝になりたくはない。それは私の務めではない。私は誰も支配したり征服したりしたくないのだ。できることなら全ての人を助けたいのだ。ユダヤ人も,ユダヤ人以外の人々も,黒人も,白人も。)

We all want to help one another.  Human beings are like that.  We want to live by each other's happiness, not by each other's misery.  We don't want to hate and despise one another.  In this world there's room for everyone and the good earth is rich, and can provide for everyone.  The way of life can be free and beautiful. 
(私たちは皆,お互い助け合いたいのだ。人間というのはそういうものなのだ。私たちはお互いの不幸によってではなく,お互いの幸福によって生きたいきたいのだ。お互いを憎んだり見下したりしたくないのだ。この世界では全ての人に機会が与えられ,肥沃な地は豊かであり,全ての人を養ってくれる。生き方は自由で美しいものになりうるのだ。)

But we have lost the way.  Greed has poisoned men's souls, has barricaded the world with hate, has goose-stepped us into misery and bloodshed.  We have developed speed, but we have shut ourselves in.  Machinery that gives abundance has left us in want.  Our knowledge has made us cynical, our cleverness hard and unkind.  We think too much and feel too little.
(しかし私たちはその生き方を失ってしまった。貪欲さが人間の魂を汚し,世界を憎しみで囲い込み,私たちをグースステップ式行進*で歩かせて悲惨な殺戮状態へと追い込んだ。私たちは速さを発達させたが,自らを閉じ込めてしまった。豊かさを与えてくれる機会は私たちを欠乏状態にさせた。私たちの知識は私たちを冷笑的にさせ,私たちの賢さは私たちを無常で不親切にさせた。私たちはあまりにもものを考えすぎるようになり,ものを感じなくなっている。)
*グースステップ式行進:第二次世界大戦中のドイツ兵の行進に見られた,膝を曲げず脚を高く上げる行進の仕方

More than machinery we need humanity.  More than cleverness we need kindness and gentleness.  Without these qualities, life will be violent and all will be lost.  The aeroplane and the radio have brought us closer together.  The very nature of these inventions cries out for the goodness in men, cries out for universal brotherhood for the unity of us all.
(機械以上に私たちが必要なのは人間性だ。賢さ以上に私たちが必要なのは優しさだ。これらの資質がなければ,生きることは暴力的になり,すべてが失われるだろう。飛行機やラジオは私たちをより近づけた。これらの発明品のまさにその性質が,人間の善良さを大いに必要とし,私たち全ての団結のための世界的な兄弟愛を必要としている。)

Even now my voice is reaching millions throughout the world, millions of despairing men, women and children ― victims of a system that makes men torture and imprison innocent people.
(今も私の声は世界中の多くの人々に届いている。絶望しかけている男性にも,女性にも,幼き子どもたちにも。人間に苦しみを与え無実の人々を収監する体制の犠牲者たちに。)
To those who can hear me, I say, "Do not despair.  The misery that is now upon us is but the passing of greed, the bitterness of men who fear the way of human progress, the hate of men will pass and dictators die.  And the power they took from the people will return to the people.  And so long as men die, liberty will never perish"
(私の声が聞こえている人々に私は言う。「絶望するな」と。今,私たちにのしかかっている不幸はつかの間の貪欲さ,すなわち,人間の進歩の道のりを恐れる人々の敵意に過ぎないのだ。人間の憎しみは通り過ぎ,独裁者は死ぬ。そして独裁者が人々から奪った権力は人々のもとに帰るのだ。そして人に寿命がある限り[独裁者は死ぬのだから],自由は決して消えない。)

Soldiers, don't give yourself to brutes ― men who despise you, enslave you, who regiment your lives, tell you what to do, what to think and what to feel, who drill you, diet you, treat you like cattle, use you as cannon fodder.
(兵士たちよ,あの人でなしの連中に自らを譲り渡すな。奴らは諸君を軽蔑し,奴隷にし,諸君の暮らしを統制し,諸君が何をすべきか,何を考えるべきか,何を感じるべきかを教え,諸君をしごき,諸君の食い扶持を減らし,諸君を家畜のように扱い,諸君を大砲の餌食として利用しているのだ。)

Don't give yourselves to these unnatural men!  Machine men with machine minds and machine hearts!  You are not machines!  You are not cattle!  You are men!  You have a love of humanity in your hearts.  You don't hate.  Only the unloved hate the unloved and the unnatural.  Soldiers, don't fight for slavery.  Fight for liberty!!
(あの残酷な連中に自らを譲り渡すな!機械の頭と機械の心を持った機械の奴らに!諸君は機械ではない!諸君は家畜ではない!諸君は人間なのだ!諸君の心の中には人類愛がある。諸君は憎むことはない。愛されぬ者だけが愛されぬ者と残酷な者を憎むのだ。兵士たちよ,隷属を求めて戦うな!自由のために戦うのだ!)


In the seventeenth chapter of St. Luke it is written: "The kingdom of God is within man."  Not one man, nor a group of men, but in all men!  In you!  You, the people have the power!  The power to create machines.  The power to create happiness.  You, the people have the power to make this life free and beautiful, to make this life a wonderful adventure.  Then in the name of democracy, let us use that power.  Let us all unite!!!!
(ルカの福音書第17章にはこう書かれている。「神の国は人のうちにあり」と。一人の人間でもなく,集団でもなく,すべての人間の中に!諸君の中に!諸君には力がある!機械を生み出す力が。幸福を生み出す力が。諸君,人民がこの世を自由で美しいものにする力を持っているのだ。この世を素晴らしき冒険にする力を!そして民主主義の名のもとに,その力を使おう。団結しよう!)

 Let us fight for a new world.  A decent world, that will give men a chance to work, that will give you the future and old age a security.  By the promise of these things, brutes have risen to power.  But they lie.  They do not fulfill that promise.  They never will.  Dictators free themselves, but they enslave the people.
(新しい世界のために戦おう。人に働く機会を与え,諸君に未来を,老人に安心を与えるまっとうな世界のために。こうしたものを約束することで,残酷な連中は権力の座に上り詰めた。しかし彼らは嘘をついている。彼らはその約束を果たしてはくれない。これからも決して果たすことはないだろう。

Now let us fight to fulfill that promise.  Let us fight to free the world to do away with national barriers, to do away with greed, with hate and intolerance.  Let us fight for a world of reason, a world where science and progress will lead to all men's happiness.  Soldiers, in the name of democracy, let us all unite!!!!!
(今,その約束を果たすために戦おう。世界を解放するために戦おう。国境を廃止し,貪欲さをなくし,憎しみと不寛容をなくすために。理性の世界を求めて戦おう。科学と進歩がすべての人間の幸福につながるような世界を。兵士たちよ,民主主義の名のもとに団結しよう!)

A・ヒトラー

2020-06-13
Facebook 佐々木信雄

【20世紀の記憶 1921(T10)年】
 

(アドルフ・ヒトラー)
*7.29/独 アドルフ・ヒトラーがNSDPA(ナチ党)の党首に就任。規約を改正して無制限全権を握る。
 

 オーストリア=ハンガリー帝国に生まれたアドルフ・ヒトラーは、のちにドイツ国籍を獲得して、第一次世界大戦に義勇軍伝令兵として参加した。西部戦線で毒ガス攻撃を受けて障害を受けたヒトラーは、収容された野戦病院でドイツの降伏を知り、大きな精神的ダメージを受けた。
 

 戦後も軍属として、新興政党などの諜報に従事する中、その諜報対象であった「ドイツ労働者党」(DAP)の反ユダヤ主義、反資本主義に惹かれて入党する。天才的な演説で民衆を引き込む才能を見込まれたヒトラーは、すぐに党幹部となるとともに、党名を「国家社会主義ドイツ労働者党」(NSDAP、ナチスは蔑称)と改名させる。
 

 この日1921年7月29日、党内で分派闘争が起きると、それに乗じて党執行部のクーデターを引き起こし、ヒトラーが第一議長に指名された。彼は、唯一絶対の指導者とする独裁権(指導者原理)を要求し、周囲からは「Führer」(フューラー、指導者)と呼ばれ始めた。
 

 ヒトラーは、ドイツ革命中、共産主義者などの排除などで功績のあった民兵組織フライコール(ドイツ義勇軍)に影響力をもったエルンスト・レーム大尉らによって「突撃隊」(SA)を組織させ、実力行使で党勢を拡張していった。
 

 突撃隊は「ミュンヘン一揆」での蜂起失敗などをへて、街頭闘争や政敵弾圧などに力を発揮したが、ヒトラー・ナチスにとって絶対服従的な組織ではなく、その後、ヒトラー直属の「親衛隊」(SS)によって、レームなど幹部が粛清され(長いナイフの夜)、突撃隊も、親衛隊の配下に改組された。
 

 ドイツ革命の時期には、多数の政党が乱立対立し、しばしば実力行使で党勢拡張をはかった。政党の集会や演説会の警備を名目に、各党は準軍隊組織を抱え、他党の政治活動の妨害などで衝突することが多かった。ヒトラー・ナチスは、元軍人や義勇軍兵士を「突撃隊」としてかき集め、最も有効に活用したと言える。
 

『ヒトラー演説 - 熱狂の真実』 (中公新書) 2014/高田博行(著)
https://www.amazon.co.jp/…/4121022…/ref=pd_lpo_sbs_14_img_2…
 
 
映画『独裁者』"The great dictator" 1940年/チャールズ・チャップリン
https://www.youtube.com/watch?v=78bYriDPUww
 

〇この年の出来事
*2.8/ソ アナーキズムの巨星クロポトキン、墜つ。
*3.8/ソ ロシア共産党大会が開かれ、レーニンの新経済政策「ネップ」案が採択さる。
*5.5/中 孫文が上海で大総統に就任。第二次広東政府を樹立。
*8.2/ソ 飢餓に苦しむソビエトで、レーニンが諸外国の援助を要請。
*8.20/米ソ ソビエト飢餓救済で米ソが協定。
*11.4/独 ヒトラーが「突撃隊」(SA)と命名したナチスの実力部隊が、共産主義者と大乱闘。
 

*ブログで読む>https://naniuji.hatenablog.com/entry/20170629

ラストエンペラー来日

2020-06-20

詳細

4月6日、満州国皇帝が初めて来日。
昭和天皇は東京駅のホームまで出迎えに行き、握手を交わしました。


https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009170006_00000

パリ不戦条約

2020-07-09
佐々木 信雄さんのFbより

『Get Back! 20's / 1928年(s03)』
 

(パリ不戦条約)
○8.27 [フランス] パリで、不戦条約が日本などの15か国によって調印される。「パリ不戦条約」
 

 第一次世界大戦での反省から、諸国間で「国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄する」との不戦条約が結ばれた。パリで条約が調印されたので「パリ不戦条約」と呼ばれ、当初交渉を始めたのは米仏間で、米国務長官ケロッグと仏外相ブリアンの名前から「ケロッグ・ブリアン協定」とも呼ばれる。
 

 紛争は戦争ではなく平和的手段により解決すると規定され、「戦争放棄に関する条約」とされる。それまでの19世紀的戦争観によれば、主権国家は相互に対等であり、個人間の「決闘」のごとく、互いの存在と尊厳を守る手段として、国家は戦争に訴える権利や自由を有すると考えられていた。
 

 不戦条約はこの国際法の無差別戦争観を否定するものであり、国際的に戦争を放棄する条約は画期的であった。条約違反を超越的に抑止する機関はなかったが、不戦条約違反とされた国があれば、他の諸国は自動的に制裁権(制裁戦争)が履行できるとされた。
 

 ただし、米国などから「自衛の戦争は除く」という制限が付け加えられたため、結果的に「(自衛を除く)侵略戦争」のみを禁止する条約となった。しかも「侵略」の定義が「当事国の自国裁量権に任せる」とされたため、何でも自衛のためと理屈つけられる抜け道だらけの条約となった。あの大東亜戦争をも含めて、その後戦争を引き起こした国は、いずれも侵略戦争であることを認めたためしがない。
 

 不戦条約が物理的な抑止力の無い理念的なものとなったため、その後各国は「集団安全保障」体制を組むことになる。議論になった「集団的自衛権」は、集団安全保障体制に限定されるものではないが、少なくとも集団的自衛権を行使できることが、集団安全保障に必要な双務的要件であることは自明である。
 

*この年
ダンスホールが人気/オカマ帽・ラッパズボン・ミニスカートが流行/天皇への直訴が6件を数え、奉書紙の購入には住所氏名の明示が義務となる
【事物】国産電気吹込式レコード/普通選挙
【流行語】弁士中止/人民の名において/モン・パリ/マネキンガール
【歌】波浮の港(佐藤千夜子)/アラビアの唄(二村貞一)
【映画】新版大岡政談(伊藤大輔)/十字路(衣笠貞之助)/暗黒街(米)
【本】「マルクス・エンゲルス全集」(改造社)/坪内逍遥訳「沙翁全集」/林芙美子「放浪記」(女人芸術)/川上肇「資本論入門」/講談社「講談全集」
 

*ブログで読む>https://naniuji.hatenablog.com/entry/20160902

ベルサイユ体制

2020-06-07
Facebook 佐々木信雄さんの投稿です。

【20世紀の記憶 1919(T8)年】(ref.20世紀の全記録)
 

(ベルサイユ講和条約)
*6.28/仏 「ベルサイユ講和条約」が調印される。
 

 ベルサイユ条約は、1919年6月28日にフランスのベルサイユで調印された、第一次世界大戦における連合国とドイツの間で締結された講和条約の通称である。第一次世界大戦の終結を受けて、1919年1月18日から、フランスのパリで世界各国の首脳が集まり「パリ講和会議」が開始され、講和問題だけではなく、国際連盟を含めた新たな国際協調体制構築についても討議された。
 

 パリ講和会議の結果、連合国とドイツの間で締結された講和条約は、パリ郊外のベルサイユ宮殿で調印されたため「ベルサイユ条約」と呼ばれる。そして、この条約や関連諸講和条約によってもたらされた国際秩序を、ベルサイユ体制という。パリ講和会議は、アメリカ大統領ウッドロー・ウィルソンの理想主義を基調に進められ、「国際連盟」の成立など、平和秩序の維持を希求したが、それを支える現実的な制度が、各国の意向で整えられず、その崩壊が第二次世界大戦へと流れ込んでいった。
 

 パリ講和会議は、参戦国でもあったが仲介役的立場の米大統領ウィルソンと、英首相ロイド=ジョージ、フランス首相クレマンソーを中心として進められた。ウィルソンは、「十四か条の平和原則」を発表し、「公正な講和」をアピールして、講和後の融和的な各国の関係を重視したが、直接に戦闘を交え甚大な被害を被った英仏両国は、ドイツに巨額の賠償や領土割譲を含め、懲罰的な負担を科する強硬意見であった。
 

 当初、ドイツやオーストリアの政体が不安定な状況もあり、まず連合国間で講和条件を話し合うことになった。戦勝五大国(英・仏・米・伊・日」の全権代表で構成される「十人委員会」で、重要課題は検討されることになったが、その後、情報遺漏問題もあって、実質は、英仏米三首脳にイタリアのオルランド首相を加えた「四人会議」が中心となった。
 

 フランスは、直接国境で接し、過去何度も戦争をしてきた隣国ドイツに対する不信感は強く、潜在的脅威を完全に取り除くべく、莫大な賠償や領土割譲など、強硬に懲罰的な条件を求めた。一方のアメリカは、理想主義者ウィルソンの意向もあり、「公正な講和」と「戦後の協調体制構築」で、行き過ぎた懲罰要求を緩和すべきとした。イギリスは、仏に立場は近いが、妥協的に対応した。
 

 講和案がまとめられると、ドイツ代表がパリ会議に招かれ通知された。ドイツ側は、国民からの大反発もあり、講和案を拒絶するが、ドイツ側からの提案を出し、若干の修正の後、再度講和案が提示された。連合国側は、返答期限を切り、受諾亡き場合は戦闘再開も辞せずという断固たる姿勢で臨んだため、ドイツはしぶしぶ講和案を受諾、ベルサイユ条約が締結されることになった。
 

 ベルサイユ条約は、米ウィルソンの提唱した「国際連盟」条項を包含するなど、平和的な協調体制理念が盛り込まれていたが、一方で仏クレマンソーを代表とする、ドイツに対する復讐懲罰的な苛酷要求との、妥協の産物であった。その結果、国際連盟は米議会の反対で批准されないなど、具体的な平和維持機構ととしては機能せず、一方で、敗戦国ドイツへの苛酷な賠償負荷は、それに耐えきれないドイツ国民の疲弊を招き、やがてナチス台頭など、第二次大戦への導火線ともなった。
 

$映画『シークレット・オブ・モンスター "The Childhood of a Leader" 』(2015/英仏ハンガリー)

 ジャン=ポール・サルトルの短編小説「一指導者の幼年時代」をベースにした心理ミステリー。ベルサイユ条約締結直前のフランスを舞台に、アメリカからやって来た政府高官の幼い息子が、「独裁者」というモンスターへと変貌を遂げる謎に迫るさまを描く。
http://eiga.com/movie/85295/

$ジャン=ポール・サルトル「一指導者の幼年時代」(「水いらず (新潮文庫)」所収)
https://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E3%81%84%E3…/…/4102120017
 

〇この年の出来事 
*1.18/仏 第一次大戦の終結を受け、パリ講和会議が始まる。
*2.6/独 ワイマールでドイツ共和国国民会議開催。民主共和派が大勢をしめ、大統領にエーベルトを選出。
*3.1/朝 京城を始めとする主要都市で、反日独立運動がはじまる。「三・一運動」
*5.4/中 中国で「五・四運動」が起こる。
 

*ブログで読む>https://naniuji.hatenablog.com/entry/20170613

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