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仏教美術

ちょっと気になる逸品の世界

《 百済観音原型 》

2022-08-22

Facebook 江場 琳觀さん曰く

《 百済観音原型 》
このところ取り組んでいる大規模なプロジェクトで、古色仕上げや、飾り金物の資料をと《百済観音 原形》を振り返っている。
画像の、法隆寺に伝わる国宝 百済観音の3分の1の大きさの本像は、法隆寺像と同寸模刻(一部補作)の原型として精密を期し制作した。
彫刻する際に参考にしたのは、記録に残る法隆寺像の採寸データと様々な角度から撮影された画像データ。
これらの資料をもとに探求を進めたが、彩色の下地厚などは単純に3分の1に換算した数値には収まらない。
そもそも小さくなっても木材に一定の塗膜を作る厚みはさほど変わらないうえに、わずかな下地の厚みの違いでいとも簡単に表情など微細なニュアンスが変化してゆく。
多くの人に親しまれるイメージを再現するのは容易ではないのだ。
こうして眺めていると、ありありと制作当時の想いがその熱量を伴って語りかけてくる。
かけた手間に嘘はなく、
静謐な佇まいの中に、ときに雄弁な声を聞くならば、
いかなる仕事も全霊をもって臨みたいものである。
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